
脳梗塞を防ぐといわれるポリフェノールが、レタスの切り口が褐変する原因と同じだったとは・・。
赤ワインも、変色レタスもどちらも有用なのでしょうか?
赤ワインも、変色レタスもどちらも有用なのでしょうか?
「褐変」の正体を知って、レタスの変色防止法は分かりました。植物にはポリフェノールが含まれているということから学習スタート。(参考文献:村田容常氏発表資料)
<褐変の理由>
植物性食品をきる、つぶすといった細胞を破壊する操作を施すと酵素的褐変が起こる。
植物性食品をきる、つぶすといった細胞を破壊する操作を施すと酵素的褐変が起こる。
これは液胞に存在しているポリフェノールが、組織が破壊されたことで葉緑体プラスチドに存在しているPPO(注)と接触可能となり、酵素的に酸化されキノン体が生じるためである。
このキノン体は化学的に反応性が高く、重合、縮合、他成分との反応などを経て、褐変する。そのため外観が変わり、生鮮食品の品質を損なうと考えられる。
このキノン体は化学的に反応性が高く、重合、縮合、他成分との反応などを経て、褐変する。そのため外観が変わり、生鮮食品の品質を損なうと考えられる。
●褐変を利用するもの
酵素的褐変は紅茶やウーロン茶の製造、チョコレートの製造などでは重要と考えられる。
酵素的褐変は紅茶やウーロン茶の製造、チョコレートの製造などでは重要と考えられる。
●褐変の起こり方の違い
カット野菜を貯蔵しておくと褐変する。レタスをカットするとカットに対する傷害応答がレタスに起こり、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)が誘導される。その結果、貯蔵中にポリフェノールが徐々に合成され、それが順次酸化されるために褐変が起こる。リンゴのようなタイプの酵素的褐変(基質、酵素とも存在している)を即時型、カットレタスのようなタイプの酵素的褐変(基質もしくは酵素が誘導される)を遅延型褐変と呼ぶ。
カット野菜を貯蔵しておくと褐変する。レタスをカットするとカットに対する傷害応答がレタスに起こり、フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)が誘導される。その結果、貯蔵中にポリフェノールが徐々に合成され、それが順次酸化されるために褐変が起こる。リンゴのようなタイプの酵素的褐変(基質、酵素とも存在している)を即時型、カットレタスのようなタイプの酵素的褐変(基質もしくは酵素が誘導される)を遅延型褐変と呼ぶ。
●褐変を防ぐ方法
カットレタスの褐変の場合にはPAL活性の制御が重要になる。PALの制御法にコストレス法がある。PALの誘導が傷害応答反応と考えると他のストレスを同時に与え、PAL誘導を抑えようという考え方である。
カットレタスの褐変の場合にはPAL活性の制御が重要になる。PALの制御法にコストレス法がある。PALの誘導が傷害応答反応と考えると他のストレスを同時に与え、PAL誘導を抑えようという考え方である。
50℃程度のぬるま湯に90秒程度カットしたレタスをつけてその後冷蔵すると褐変しなくなる。ヒートショックを与えたカットレタスではPAL活性の上昇は認められず、ポリフェノール量も変わっていなかった。ビタミンC含量も変わらず、官能的にも品質的にも優れていた。添加物も使わず、特別な装置も必要としない簡便な制御法と言える。
注)PPO=ポリフェノールオキシダーゼ
●参考文献
1)Murata, M., et al.: Transgenic apple (Malus x domestica) shoot showing low browning
2)potential. J. Agric. Food Chem., 48, 5243-5248 (2000).Saltveit, M. E.: Wound induced changes in phenolic metabolism and tissue browning are altered by heat shock. Postharvest Biol. Technol., 21, 61-69 (2000).; Loaiza-Velarde, J. G., et al.: Effect of intensity and duration of heat-shock treatments on wound-induced phenolicmetabolism in Iceberg lettuce. J. Amer. Soc. Hort. Sci., 122, 873-877 (1997).
1)Murata, M., et al.: Transgenic apple (Malus x domestica) shoot showing low browning
2)potential. J. Agric. Food Chem., 48, 5243-5248 (2000).Saltveit, M. E.: Wound induced changes in phenolic metabolism and tissue browning are altered by heat shock. Postharvest Biol. Technol., 21, 61-69 (2000).; Loaiza-Velarde, J. G., et al.: Effect of intensity and duration of heat-shock treatments on wound-induced phenolicmetabolism in Iceberg lettuce. J. Amer. Soc. Hort. Sci., 122, 873-877 (1997).