♪カレーの記憶力増進効果 | ◆VISTAの発見◆

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♪いつかはきっと セレンディピティ

●ターメリック(ウコン)に記憶力を高める作用が本当にあるの?

●インド人にアルハイマー病が少ない理由は本当に”カレー”効果なの?

カレーを食べても記憶力が向上しないという人は、以下の二つの情報を注意深く読みましょう。

ついでに米スタンフォード大の研究チームの発表「ランニング習慣が老化を遅らせる」にも関心を持ちましょう。

●2004・9・13 All about .co.jp/health記事

金沢大大学院の山田正仁教授(神経内科)と小野賢二郎医師らの研究報告

カレーに必要不可欠なスパイス、ウコン。そのウコンに含まれる色素成分「クルクミン」が、アルツハイマー病の原因となる物質の生成を防ぐ効果があると、金沢大大学院の山田正仁教授(神経内科)と小野賢二郎医師らが研究報告しました。

アルツハイマー病は、脳内で「アミロイドベータ(Aβ)」という物質が神経細胞を殺してしまうために、痴呆がおこります。研究チームによると、「Aβ」を含む溶液にクルクミンを加えると、神経細胞が守られることを確認されました。これは、赤ワインに含まれるポリフェノールや、ハーブのローズマリーでも同様の効果が得られるそうです。

またクルクミンを混ぜた餌で育てたマウスは発症しにくいというデータも明らかにされています。研究チームは「クルクミンにアルツハイマー病を防ぐ直接の効果があることがわかった。食生活の改善で発症を遅らせらることができるかもしれない」としています。

●2008・8・18 nejinews.com記事

武蔵野大学、未来の「認知症治療薬」期待の化合物「CNB-001」発見

カレーにはさまざまなスパイスが含まれており、健康効果があると言われています。その中でも、ターメリック(=ウコン)にはクルクミンという化合物が含まれており、肝臓の保護作用などが広く知られています。また脳に対しては、抗酸化作用による脳保護効果、さらにはアルツハイマー病の原因物質と目されている「アミロイドβ蛋白」の蓄積を防ぐ効果があり、クルクミンの薬効研究はアルツハイマー病治療または予防薬の開発に役立つのではないかと考えられてきました。

 そのことに目をつけた本学薬学部の薬理学研究室(阿部和穂教授)では、米国ソーク研究所のデビッド・シューベルト博士との共同研究で、クルクミンと誘導化合物の脳に対する作用を研究してきました。その結果、クルクミンには神経を保護する効果が確認できましたが、直接記憶力を高める作用は認められませんでした。そこでクルクミンの化学構造を少しだけ変えた化合物を作ったところ、神経保護効果に加えて、記憶力を高める作用が発見されました。その化合物は『CNB-001』と名づけられました。

 この研究成果はすでに老年医学分野のトップジャーナル“Neurobiology of Aging(老化の神経生物学)”(インパクトファクター5.599)に発表され、2008年7月17日付で、印刷媒体に先立ってオンラインで公開されました。論文の概要は以下のとおりです。

(1)ラットの脳から記憶形成に関与する脳の「海馬」を取り出してスライス標本を作製し、「長期増強(Long Term Potentiation:以下LTP)」の値を計測したところ、『CNB-001』溶液を与えた場合にLTPが起こりやすくなることがわかった

(2)ラットに “物体再認試験”を行ったところ、『CNB-001』を飲ませたラットは一度見た物体をよく覚えていることがわかった

(3)『CNB-001』の作用を調べたところ、記憶に関わる「Ca2+/カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII (CaMKII)」という酵素を活性化することが明らかとなった『CNB-001』は、飲んで有効で、従来にないメカニズムで海馬を直接活性化して記憶形成を促進する新薬として、将来の新しい認知症治療薬候補として期待されます。
問い合わせ先:武蔵野大学 総合企画部広報室(担当:丹羽・足立)