2024年2月6日告示・同2月11日投票の印南町長選のレポート改め彦治観察日記です。


選挙自体は、現職が無投票当選の公算で、告示日前日までは無投票の見込みとの報道もされていました。


しかし、急転直下、彦治が立候補を表明してしまいました。


0.背景

印南町は、紀伊半島南西部の紀伊水道沿いに位置し、人口約7700〜7800人ののどかな町です。

面積は113.63㎢で、人口に対して広めにも思えますが、北東方面に行くにつれ、どんどん高台・紀伊山地の山になっていくので、海辺の方に家などは集中しているように思います。


今回、高齢で多選の現職が無投票当選しそうだったため、彦治の的にされてしまいました。

というわけで、今回の立候補者です。


ひうら勝己 (73) 現職

小西ひこじ (52) 新人




1.ひうら勝己候補

(ひうら候補のポスター)


(1)候補の紹介

ひうら候補は、2012年に現職を破って初当選し、前回は無投票当選し、今回4選を目指し出馬しました。

ひうら候補は特に不祥事等なく、現地での人望もあるようで、無投票当選しそうだったのですが、彦治が現れたせいことで、今回はやらなくてもいい選挙戦になりました。



(ホイホイ為書きくれなさそうな、錚々たる面々から為書きが寄せられていた)


(2)主な政策


(事務所でもらえた証紙ビラ裏面より

※選挙が終わったので事務所住所等黒塗り)


(3)選挙戦の展開

急遽始まった選挙戦ですが、もともと出陣式は行う予定だったためか、岸本知事や周辺自治体の首長を集めて出陣式を行ったそうです。また、町内でビラ配りも行っていたようです。

印南駅前に構えた事務所に貼られた為書きも、岸本知事、二階衆議院議員、世耕参議院議員を始め、万全に揃えていました。無投票当選の見込みの中でも準備万端だったことが窺えます。

私が「為書き撮っていいですか?」と聞いた時、「バンザイする時映るし、公にしてるものですからいいですよ」と言われたので、勝ちは手堅いと感じていたと思われます。


2.小西ひこじ


(ま た お 前 か)

*川越町、舟形町と同一のポスターです()


(1)候補の紹介

小西彦治とは何者か?については金城ガンヂさんの以下のマガジン参照。

2024年に入ってからに限定しても、須坂市長選(長野)→川越町長選(三重)→舟形町長選(山形)→印南町長選(和歌山)で4回目の出馬です()


(2)主な政策

・都会のベッドタウン*としての魅力を発信

・避難路などの防災対策の推進

町長退職金を町民に還元**

・政策は公募***


*大阪まで特急乗継とか高速道路を駆使しても2時間以上かかります()

**また退職後の話をしてるよ()

***本当です。


(3)選挙戦の展開

彦治は、日高新報の取材に対し、「5日間の選挙戦は毎日、伊丹の自宅から通う」と述べていたそうです。

しかし、現地で聞いた話によると、体調不良を理由に、ポスターを貼った後は一回も町に現れなかったそうです。つまり、ポスター貼りを除き、結局何もやっていません()

というか日高新報の記事、新聞としてできる限界に挑戦したレベルで、めっちゃ彦治に突っ込んでるな()


3.考察等

(1)結果

結果は以下の通り。

当 ひうら勝己 3,634票

落 小西ひこじ   393票

(投票率:62.17%)


時津町以来約3ヶ月ぶり2回目の、彦治供託金没収(&公費負担なし)でした!

ひうら町長はぜひ頑張ってください!


(2)考察

(a)とうとう意識され始めた「10%」

今回印南町に行き、一番驚いたのは、供託金ラインの話がすぐに出てきており、(ネット選挙株式会社スキームの疑惑の話は出なかったものの)彦治に痛みがないことは皆さん理解していたことです。

また、陣営ボランティアのおじさんから、供託金の話を振ったでもないのに、「どんなにいい人でも、反対する人は出るわけで、10%というのはかなり厳しいですねえ」という発言も出てきており、彦治に対する意識のフェーズが変わったなと感じました。


地元紙の日高新報が、いわく付き候補感満載で、可能な限りの表現をしてくださったおかげで、彦治に対する警戒感が生まれたのだと思いますが、まさかボランティアの方々が「勝敗」ではなく「10%」という数字を意識していることに大変驚きました。また、個人個人が声を上げることの重要性も身に沁みてわかりました。


(b)本巣市の選管GJ(?)

彦治が本巣市長選を断念した理由は、よくわからないのですが、印南町では「本巣市の選管になんで出るのか聞かれて断念した」という話が出ていました。

出馬自体は、いかなる理由であっても被選挙権がある以上できるはずなので、選管がそんなこと聞くかな?とは思います。

ただ、説明会に来ず、資料の取り寄せだけ行った彦治に対し、現行法制下で違憲・違法にならない範囲で、なんらかの働きかけをしたことで、彦治の無駄な出馬を止められたのなら、本巣市の選管がかなりいい仕事をしたことになります。

(供託金没収の結果が出る前に思いついた)根拠もない思いつきなので詳細は書きませんが、個人的に仮説が生まれていて、これが正しければ、彦治の2月の出馬は今回の結果にかかわらず終わりで、次は3月の多賀町長選か千代田町長選だと思います。


追伸)松川村見落としてました(>_<)ホームページ隅から隅まで見てなかったので上げませんでしたが、松川村も出てもおかしくなかったです。(2024/2/13加筆)


(c)地元の声

ひうら事務所で聞いた声*を一部紹介します。私からはあえて論評等しません。


「(選挙は)人件費とかでお金もかかるし、役場の仕事もできたはずのものが止まって職員が残業とかもして働かないといけなくなるから、町のことを考えてる人が出てくるんだったらいいけど、こういう人だとちょっと…」

「町議だったら3ヶ月は住んで勉強してから出るけど、中1日だもんね…(印南町の)ホームページ見たくらいでしょう?」

「公約を公募って、それでよかったら誰でもできるでしょ」


*町民でもないのに厚意でひうら事務所に入れてもらって、お話を伺ったので、録音等までしておらず、少し言い回しは違うかもしれませんが、趣旨は変えていません。


(3)雑感

今回の選挙は、ひうら陣営からすれば、正直意味不明な泡沫候補が突然出ただけなので、相手候補である彦治をそこまで分析しなくても、勝ちは揺るぎないものでした。そのため、私としては、ひうら陣営の彦治に対する解像度は、「変なのがきた」くらいだろうなあと思っていました。

しかし、驚くべきことに、ひうら陣営のボランティアの方々は、金城ガンヂさんやちだいさんらの記事で書かれたようなことを、かなり深く理解していました。ボランティアのおじさんが「(現職が)年行ってて多選で誰も出ないところ狙ってるんでしょ」とか「長崎だっけ、4.何%か取ったの以外、(供託金)返ってきたんでしょ」と話すなど、そのレベルで理解していました。(時津町の彦治得票率なんて、10%切ったこと以外、私は忘れてました)


ひうら事務所で話を伺った時、「新聞」という単語がよく出てきたので、地元紙の日高新報がかなり突っ込んだ記事を出した影響が大きいとは思います。それでも、日高新報も「うわさ」(金城ガンヂさんの配信など)があったから取り上げたのであり、個人レベルでも声を上げていくと、少しずつ問題意識が共有されていくのが示されました。


今回、彦治はギリギリ供託金没収に追い込まれましたが、一騎打ちの選挙では初めてです。地域のことを考えることなく無闇矢鱈に立候補するような輩を批判するのが無意味ではないのが明らかになりましたし、今後も地道にやっていきましょう。