彼女の名はナツ


向日葵の様な彼女にはピッタリの名前だと思った。



僕らはお互い色んな話をしたが、彼女の話のメインは好きな奴の話だった。

僕の話のメインは付き合っている彼女との事だった。



彼女はいつも決まって

『ハルの彼女は幸せだね。
きっと私もハルの彼女になれたら幸せになれるのになぁ…』


と、笑顔で言っていた。

『じゃあ彼女と別れてナツと付き合ってやるよ』

と僕が言っても


『それは無理!
ハルと付き合ったら幸せで、毎日楽しいと思うけど、
ハルとあいつは友達だもん…

ハルは好きだけど、きっとあいつと会う事もあると思うし、あいつよりハルを好きになっても、
あいつを好きだった事実は変わらないし、そしたら私が嫌だから無理!

それにハル彼女いるし!』


彼女は笑いながらハッキリと答えた。


そんな彼女の強さと弱さが僕は好きだった。



そんな毎日は続いていた。





寒い日には寄り添って、
毎日の様に一緒にいて、
一緒に寝て、一緒に起きて、
まるで家族みたいだったけど、
不思議と男と女では無かったし、
恋愛関係にはならなかった。



僕は付き合っていた彼女とは別れたが、
2人の関係は変わらなかった。



変わった事は、彼女の言葉の中に
"好き"とか"大好き"とか"愛してる"と云う言葉が増えた事だけで、
2人の関係は変わらなかった。



『気持ちは言葉にしなきゃ伝わらないでしょ?』

そう彼女は言って
また笑った。



僕はナツの笑顔が大好きだった。

彼女が笑顔でいられるなら、
彼女が笑顔でいてくれるなら、
いつもそう思う様になっていた。
僕には何が出来るだろう


いつも君を想うよ


僕には何が言えるだろう


君が幸せで在る為に…



きっとこの出会いは偶然じゃ無くて

きっとこの出会いは必然だと思うよ


止まない雨の日にも

強い風の吹いてる日にも

その胸が痛む日にも

きっと君は平気さ

繋いだ手の温もりが君を守るから


この手は離さないで



君が笑顔で居られるように

君が涙を流さぬように

僕は君を想うよ

君にこの声を届けたいよ…



だから僕は歌うよ

君の為の歌

君の為のメロディー

ただ君だけの為に


僕は歌うよ









特別な事は何もなくて、なんの事は無く君に出会った


当時僕には彼女がいて、
君には好きな奴がいて、
そんな中での出会いだった。



僕らはすぐに仲良くなれた。


彼女は凄く明るくて、常に前向きな性格だったが、頑固で自分勝手で我儘で泣き虫だった。


だけど本当は凄く弱くて繊細で脆かった…


周りにそんな自分を見せる事を嫌って、
いつも気丈に振る舞っていたんだ。



『だってさぁ、気持ちって伝染るじゃん?
私は楽しいのが好きだから、周りにも楽しい気持ちでいてほしいんだよ』
と、彼女は笑いながら話してくれた。



彼女はとても人懐っこくて、ともすれば馴れ馴れしくて、最初から僕を呼び捨てで呼んでいた。


『私の方が年下だけど、〇〇さんとか〇〇君とか、そうゆうの堅苦しくて嫌じゃない?』


彼女の言う事は何故か説得力があり、妙に納得出来た。


そんな彼女に僕は自然と惹かれていった。




何を話して何をしていたか覚えていないが、
僕らは毎日会っていた。

メールもRe:が大量に付くほど、毎日していたし、会えない日には長電話した。


毎日が輝いていて、毎日が楽しかったが、些細な事で毎日ケンカもしていたけど、すぐ仲直りする不思議な関係だった。


"心友"


きっとそんな言葉が
一番しっくりくる関係だった。
例えば君が何かに負けそうになっても


例えば君が挫けそうになった時も


僕はいつも側に居て、この手を差し伸べるだろう。



例えば君に悲しい事が訪れても


例えば君にすごく辛い事があっても


僕はいつも側に居て、
この手を差し伸べるだろう。



僕には何が出来るかな?

僕には何が言えるかな?

きっと明日は笑顔で会えるかな









君が僕にしてくれていたみたいに、
今度は僕が君の側にいるよ。





rain