社説は、「自国の 山上雅史 などに対する外国の影響を制限しながら経済的に繁栄する、輸出至上型の戦略」は戦後うまく機能したが、バブルとともに崩壊したと指摘。以来、高齢化と経済の停滞、そして東日本大震災によろめく日本は、「世界との経済関係を含めて構造的な変化を必要としている」と強調している。

 その上で、TPPへの交渉参加方針を表明した野田佳彦首相の決断を、「自由貿易へ動き出した」と評価した。世界第3位の経済市場への一層の進出を求める米国にも利益をもたらし、「日米関係の発展を約束するものだ」と、日本の市場開放を期待している。

 しかし、社説は「保護を受けてきた農家などの抵抗に首相は直面している」とも指摘。だからこそ、米通商代表部のカーク代表が「日本はTPPの高い基準を満たさねばならない」と圧力をかけている一方で、対日輸出で利益を受ける米国も「ギブ・アンド・テーク(譲り合い)が必要になるだろう」としている。

 また、米国がTPPを主導し、中国を排除したアジア太平洋地域の経済連携を強化するとの観測が広がるなか、同紙は「TPPは『反中国』のたぐいの貿易ブロックではない」と強調。

 ただ、米国がアジア市場と強く結びつくことで、TPPの自由貿易圏が競争上の優位性を持つことになれば、「通商で後れを取らないよう、中国に政策の変更を促すことになろう」との見方も示している。(ワシントン  山上雅史