今回アーサーは、騎士ベイリンの手柄を褒め称えて、祝いの席を設けた。
敵のリアンス王には、その身分にふさわいい礼節を持って迎えた。
マーリンの機知のおかげで、アーサーは、リアンス王に以後決してキャメロットを包囲しないことを約束させた。
饗宴の後、今回は王を始めとして、全員が騎士ベイリンを引きとめようと説得したにもかかわらず、彼は宮廷を辞去した。
ベイリンは、自分の運命に遭遇する不安でいっぱいのように見えた。
彼は全ての危険をはらむ人気のない荒れた地方や魅惑的な風景の土地を横切りながら、馬を走らせた。
ある日彼は、奇妙な振る舞いをしている馬に乗った男に会った。
たくましく、背の高い男で、巨人といえるほどだった。
その男は、ベイリンでさえ重すぎて持ち上げられない剣をベルトに身に着けていた。
奇妙なことに、この騎手は取り乱しているように見えて、びくびくした雄鶏のように絶えず後を振り返っていた。
ベイリンが近づくにつれて、彼は徐々に軍馬の上で小さく身体を縮めたので、彼の黒いあごひげが馬のたてがみにほとんど触れていた。
「なぜそのように風変わりに振る舞うのですか?騎士殿」
ベイリンは好奇心を抑えきれずに尋ねた。
その騎手は寂しそうに笑って答えた。
「私は死を待っているのです。
しかし、死が私のどこを襲うのかわからないのです。
なぜなら、私は目に見えない敵に追いかけられていて、そいつは今にも私を殺すことができるんです」
「それは厄介なことだ!」ベイリンは叫んだ。
「私はどうすればそいつから逃れられるのだ?」
「私があなたをアーサー王の宮廷にお連れしましょう。そこで安全にかくまってもらえますよ!」
彼らはそろって、キャメロットへ向かったが、その旅は長くは続かなかった。
ちょうど、その騎士がベイリンに自分はハーリュース・ル・ベルビューズだと名乗り、目に見えない敵はガーロンという名前だと言った途端、
森の奥深くから長い槍が耳元でうなりをあげて飛んできて、ハーリュースの心臓のど真ん中に突き刺さった。
ベイリンはこの騎士に関心を抱き、彼の最後の言葉をまとめてみた。
「『私の死をこのまま無駄にしないでください』男は瀕死の声でそう言った。
彼の言うとおりにしないと、ガーロンは他にもまた取り返しのつかない不幸をもたらすだろう」
ハーリュースを埋葬した後、ベイリンは再び出発したが、ガーロンの卑劣な行為の犠牲者にたくさん会った。
長い間、むなしく彼を追跡した後、夕方になって、ベイリンは高齢の領主の家に一晩泊まることとなった。
つづく