【あらすじ】

ヴォーティジェンの解任。

アウレリウス・アンブロシウスが王位に就く。

サクソン人との戦い。

イオパがアウレリウスを毒殺し、神による兆しが現れる。

ティンタジェル公と共に平和を望んだペンドラゴンは、公爵夫人に恋をする。

どのようにして、マーリンは王の願いを実現させるのか。

そして、アーサーの誕生。





日が昇るころ、マーリンの予言が現実となった。




アウレリウス・アンブロシウスとウーゼル・ペンドラゴンが

巨大な軍隊の先陣をきって島に到着した。


彼らは難なくブリトン大陸に上陸した。




ヴォーティジェンは彼らの上陸を妨げるため、ブリトン人の軍隊を送ったが、

兵士たちは2人の正当な王の味方をした。


彼らが加勢するたび、王位略奪者の最後の味方サクソン人を破っていった。



部隊を指揮したアンブロシウスは、最初、自分の父や兄を殺された仇を討つため、

ヴォーティジェンを追い詰めることにした。

王位略奪者は、数少ない彼に忠実な態度を保った者たちと逃げ出した。



彼らは、あちらこちら逃げ回り、ヴェーティジェンが建てさせた要塞の中で

最も強固な最後の要塞に避難した。


ブリトン人が彼を包囲したときも、ヴォーティジェンの守りに弱点は無かった。



しかし、突然誰かがマーリンの予言を思い出した。

「炎だけが、その城を打ち負かすことができる!!」



ブリトン人は城壁の周りに置いた、わらや木の枝の束に火を放った。


と同時に、強い風が起こり、激しく吹いたので、要塞全体が真っ赤に燃え上がった。







まるで全ての自然のエレメントが共に猛威を振るう決断をしたかのように、

空は暗くなり、激しい雷雨が発生し、恐ろしい雷の音がとどろいた。


厚い城壁が炎や風、雷の餌食となった。

ついにヴォーティジェンは梁(はり)が黒焦げになり、無残な石の山で黒くなった要塞に

これ以上とどまることはできなかった。



その時、突然、暗雲が太陽に取って代わり、他の自然の猛威も急に収まった。



マーリンがアンブロシウスの前に現れた。

「あなたに助言するために参りました、陛下」



彼はおごそかな口調で語った。

「あなたはヴォーティジェンに復讐したいとご決断なさいました。

しかしながら、まだサクソン人と戦わなければならないことをお忘れになってはいけません。



星はあなたの勝利を予測しています。

ですが、もしあなたが敵と和解すれば、あなたは死を迎えるとも言っています。

私の忠告をよく従うようにとも」



アウレリウス・アンブロシウスがそれ以上のことを尋ねようとする間もなく、

マーリンはまるで魔法にかかったように忽然と姿を消した。