A'sW3-1 紫とチャット
あの中山での消耗戦から4日が経過していた。徹の仕事は忙しさもひと段落し、午後10時には帰宅できる状況になった。
食事を済ませて、PCを起動させた。今ではトップページを【ANGEL's WINE】のあるSNSにしていた。
SNSの競馬コミュニティで、毎日王冠と京都大賞典の情報を閲覧していた徹(ナナガイキ)に、1通のメッセージが届いた。
紫からのチャットルームへの招待状だった。
「優勝おめでとーーーーーーヾ(@^▽^@)ノ」
「挨拶もなしですか。相変わらずですね(苦笑)」
「改めまして、こんばんわ(笑)」
「こんばんは。そういえば、ついに優勝してしまいましたよ」
「嬉しくないの?」
「そりゃあ、嬉しいよ。でもさ、文字で喜びを表現するの、難しいよ。顔文字とか知らないし(汗)」
「徹らしいね(;´▽`A``」
「何がさ。。。まぁいいや。楽しみなのは『ご褒美』だな」
「アイツに影響されてるね。まぁ約束ですから『ご褒美』は差し上げますよ」
徹は安堵を感じながら、キーボードを叩き続けた。
「よっしゃーーー!!! ←喜び表現してみた」
「ヘタクソ ┐( ̄ヘ ̄)┌」
「でもいよいよ、ゆかりと逢えるんだよね」
「もちろん。でもね、こっちから日にちは指定させてもらっていい? 天皇賞・秋の日なんだけど」
「11月1日だね。約1ヶ月後か…… もっと早く会えないの?」
「焦らないでね。こっちの事情もあるんだけど、その日は府中に行くから」
「ということは、競馬場で逢えるんだね。アイツみたいにエクセル田無ではなくて」
「去年の思い出のレース。スカーレットちゃんはいないけど、今年も名勝負期待で、府中いくよ」
「実家から行くんだよね。田無からだと面倒だよね」
「新潟や阪神に行くよりは、全然 楽(‐^▽^‐)」
「わかった。楽しみにしてるよ」
「第3ピリオドもガンバってねぇ~ じゃ、またね(ハート)」
「おいおい、一方的に終わるなよ」
紫からのレスポンスはなく、チャットは終了した。
紫の『ご褒美』、つまりゆかりと逢えることが確約できたことは、嬉しかった。
ただ、徹の心の中で引っ掛かることがあった。山下茜のことである。
茜のことをゆかりに伝えるか、徹は迷っているうちに、チャットは終了してしまった。
文字だけの問題ではなく、大喜びできない徹であった。