A'sW2-64 決着・結末
時刻は15時を過ぎていた。徹と新城は準メインは見ずに、パドックにいた。さすが国際GⅠ、パドックは人で混み合っていた。
「新城さんも、今回のゲーム、メッセージ投票にしたんですか?」
「そう。追う者が手の内 晒すわけにはいかんしな。この場でもまだ、内緒だ」
「実馬券の方は、公開しても良いでしょ。私の本命はビービーガルダンです」
「嘘ぉ?! 俺も◎が一緒だ。こりゃ、駄目かもな・・・」 笑いながらも新城は本命を変えるそぶりは見せない。
「シーニックブラストの取捨、迷ってるんですよね」
「いらんやろ。ヤネがテン乗りだし、馬場は良に回復したし、初の右回りだし。オーストラリアの馬は怖いけど、今まで活躍した馬は1戦目では勝ってないと思うぞ。間違ってたらスマンだけど」
2人はパドックを後にし、馬券を購入。お互いの馬券を見せ合った。◎ビービーガルダンは一緒だが、徹は馬連と3連複、新城はガルダン1着固定の馬単を購入していた。
場内に、中山・東京のGⅠファンファーレが3ヵ月半ぶりに流れた。2人はスタンド前で観戦。ゲートが開いた。
67.5秒の電撃戦は、1・2着と4・5着が写真判定に。掲示板には3着:⑫カノヤザクラだけ掲載された。
その後、4着:⑧アイルラヴァゲイン、5着②アルティマトゥーレと表示される。1・2着はまだ結論が出ない。
「嗚呼、終わった… 馬券もローレルゲレイロ買ってない。【ANGEL's WINE】も、ハズレです」
「ハズレって、0ポイント? マイナスにはならんかったか… 俺さ、馬券はガルダンからゲレイロの馬単は持っているの。すげぇドキドキ。
さ・ら・に、ゲームの方はアルティマから流していて、カノヤは入っている。25ポイント。ゲレイロも入れてるんだ。2着に来ればさらに15ポイント。つまり合計40ポイントで、アンタに並ぶぞ!! でもガルダンは入れてない…。
ガルダン差していてくれ!!!」
約10分後、写真判定の結果が掲示板に表示された。1着⑬、2着⑨。ハナ差。
「あちゃーっ!!!! 馬券は外れるし、ゲームも10ポイント差及ばずかよ。痛恨のハナ差だな……」
「馬券は外れたけど、ゲームは僅差の勝利ですね! あぶねぇーー。。。」
【ANGEL's WINE】トップ2人の結果は出た。徹(ナナガイキ):250ポイント、新城(ロイス3):240ポイント。
同着がない為、3位以下の逆転は不可能。徹がローレルゲレイロよろしく、逃げ切りを決めた。
「あ、阪神11レースの道頓堀ステークス、買ってきます。ここはオディール勝ってオープン行ってもらわないと」
「競馬に絶対はないぞぉ~」
徹は新城の言葉を気にも留めず、馬券を購入した。
そして……場内モニターで、レースの決勝線手前、悲劇を見てしまった。
「え…えぇ!? オディール大丈夫かよ???!!!!」
「アレはアカン…… 俺の心の愛馬・ライスシャワーの最期を思い出してきた。アレは淀の宝塚記念だけど」
徹は【ANGEL's WINE】勝利の余韻がぶっ飛ぶほどの不安を抱えながら、新城と別れ、中山競馬場を後にした。
そして家に到着するころ、奇しくもライスシャワーと同じ理由で、オディールがこの世から去ったことを携帯の検索で知ることになった。競走馬の宿命とはいえ、やるせない。
ファンタジーSから応援していた馬の最期。徹は悲しみに打ちひしがれた。
