A'sW2-63 新城と茜を繋ぐモノ | Bisah's Blanket 【馬龍DEN】

A'sW2-63 新城と茜を繋ぐモノ

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スプリンターズSの日、ロイス3こと新城と、正午に中山競馬場のパドックで会う約束となっていた。次が新馬戦ということでパドックは結構な人の数がいたが、はすぐに新城を発見した。


「いやぁ、俺は武蔵野線半周乗るから、疲れたよ。法典門からパドック、遠いし。瀬田さんはどう来たの?」

「私は京成の東中山駅からバスです」

「東中山からだったら歩けよ、若人。それにしてもこのレース、皇成の馬でカタいな」


中山5レース・新馬戦は、新城の言うとおり三浦皇成騎乗の馬が完勝。新城は的中、はヒモ選択を失敗した。

新城が払い戻しを済ませた後、2人はスタンド2階の食堂に入り、昼食をとった。


「食ってる最中に悪いんですけど、本題入っていいですか?」

「GⅠ予想ですか? ゴメンゴメン。山下茜さんの件だよね」

「まぁレースも大事ですけど… 茜とはどうやって知り合ったんですか?」


山下茜のことを、わざと呼び捨てにした。半ば無意識だが、自分の優位性をアピールしたかった。

「田無でアンタと会ってから数日後、ユーカリさんが、ロイス3にメッセージを送ってきたんだ。競馬を教えてくれ、って」

「ユーカリ、つまり茜から? 貴方に???」

「何故俺を指名したのかは、知らん。だけどまぁ、2人とも埼玉県人だということが分かって、浦和競馬場で会ったんだ。彼女はわざわざ会社休んだみたいだけど。でまぁ、一緒に浦和競馬をやった、と」

「それだけ?」

「人聞き悪いなぁ、かなわん。。しかしあの子、こんなオッサンを最後まで頼るんだから、悪い大人に引っ掛かるかもな。なんか必死だったし。

でな、レース終了後、俺のブログを紹介してやったんだ。今、アンタにもURL送ってやるわ」


新城は箸を置き、携帯電話を操作した。約1分後、の携帯電話が震えた。

「リンク先見てみ。それが俺のブログ。たまにしか更新しないけど。

で、ポイントは一番 上のリンクをクリックしてみて」


早速クリックしてみると、『ホースグリッター』と銘打たれたサイトになった。

「いわゆる競馬予想情報サイト。これを彼女に紹介した。彼女はすぐに有料会員になった。そこから先は…よう知らん。たぶんこのサイトの情報を使って、あのゲームに参加してるんだろうな」


はっ!はあることを思い出した。そしてこの『ホースグリッター』のURLを携帯に表示した。

「アンタ、これ、アフィリエイトだろ!!」

「おぉ!ご明答。よくわかったねぇ。そ、彼女が会員になってくれたから、俺にもうすぐキャッシュが入ってくるワケ」

「最初からこれ、狙ってただろ!!」

「俺も慈善事業やっているわけではないんだから。あの子だったら、もっと悪辣に騙すこともできたぜ」


は1度 深呼吸をして、新城を睨んだ。

「この『ホースグリッター』っていうのは、マトモなのか? 以前俺の馬友が、アフィから有料競馬サイトに入会したが、トンデモナイ代物だったことがある。それから俺は、こうした有料サイトが信じられなくなった」


新城はコーヒーを口につけて、机に戻した。

「残念ながら、俺はこのサイトの会員ではない。だからマトモかどうか、わからない。確かに有料競馬予想サイトは半分以上はクズだからなぁ。俺はアフィリエイト目当ての、ただの仲介役。後は自己責任ってもんでしょ」


は手で顔を覆った。山下茜は、新城のせいで得体のしれない競馬サイトに金を払っている。がそこまで深入りをする理由は分からなかったが、何ともいえない絶望感がを支配した。それは、目の前にいる奴の胸倉を掴んだところで、何も解決するわけではない。


は視線を新城に戻した。白い粉薬を飲んでいた。

「お前、それって…」

「バカ、こんな公の場でヤバい薬なんか飲むか。少し鬱っぽくてな… 心療内科から処方された薬を飲んでいるんだ」

「田無では飲んでなかったろ、そんなの」

「あの後、精神的に少しイカれちまってね。まぁ症状は軽いんだけどね」


は呆気にとられた。

をハメたが、抗うつ薬を飲んでいる。この世の中、何が起きているのか、サッパリ分からなくなってきた。


<続く>