A'sW2-46 怒ってる?
徹の忙しさは、夏競馬が終わっても続いていた。今年は9月下旬に大型連休がある為、繁忙期が例年より前倒しになっている。
残業による疲労に押しつぶされそうになった午後9時、徹の携帯電話が震えた。
SNSメッセージを着信した旨のメールだった。早速SNSをチェックすると、ユーカリからのメッセージだった。
「徹、こんばんは。ユーカリ、いや、ゆかりだよ('-^*)/
この前は突然のメッセージで驚いたのかな? それとも、怒ってる?
怒ってても不思議はないよね。私が貴方から離れて、もう半年近く経つもんね。
ワケあって連絡できなかったけど、やっと気持ちの整理がついてきて…この前、思い切ってメッセージしました。
これでも…勇気だしたんだよ(・∀・)/
でも、、、2週間くらい経つけど、返信来ないのは淋しい(ノДT) いや、悲しい。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
徹が怒ってたとしても、怒ってることを、返信してください。お願いしますm(_ _)m 」
徹は薄暗い職場で、呆れ笑いするしかなかった。思わず笑い声を出しそうになって、踏みとどまった。
「偽者が何言ってるんだよ…」
文面を見て、ユーカリはゆかりと面識がある(あった)のは一目瞭然だ。
顔文字を多用して、一生懸命ゆかりを装っているが、生憎 ゆかりはメールで漢字を多用しない。
紫のメッセージは漢字を使っているが、それは失踪による心境の変化か。だが紫は顔文字もあまり用いない。
ただ、ユーカリが誰であるか、そしてその目的は、まだ謎だった。
もう少しヒントが欲しい。大切なゆかりを騙る人間は誰なのか。
仕事による徒労感もあり、徹はこの日、返信しなかった。
「騙し合いなら、つきあってやる」
徹は心に決めて、残務に取り掛かった。