A'sW2-39 敵の提案
「ナナガイキさん、このメッセージ機能って写真添付できるの? 俺、やり方分からないんだけど。
写真はあるよ。ただ高画質のデジカメで撮ったので、重くて携帯でも送れないと思うけど。
ナナガイキさん、必死だね。見ず知らずの俺に、一生のお願いを2回もしてくるなんて(苦笑)
俺が推測するに、ナナガイキさんは、紫さんに特別な思い入れがあるようだね。ストーカー?
まぁいいや。紫さんの写真が見たいんだよね!
今度の日曜、会って一緒に競馬しないかい?
ライバルとして、一度会ってみたいんだ。いつものゲーム対決ではなく、実馬券対決もしてみたいなぁと思ってるんだ。
そうしたら、写真も見せちゃうよ。
それと…もう1つ提案があるんだ。
ナナガイキさんって、携帯でPATできる? できるなら提案したいんだ。
待ち合わせは、今度の日曜正午、西武線の田無駅改札口。
僕と紫さんにとっての思い出の場所。これがどういう意味か分かる?
ちなみに俺はエクセル田無の会員ではないけど… ナナガイキさん、たぶん勘が良いから分かると思うけど。
一方的な内容になったね。都合よかったら、是非。返信くださいな」
ロイス3からのメッセージを見て、言いたいことのほぼ全てを徹は理解した。そして、自分の知恵のなさに愕然とした。
紫とロイス3は、エクセル田無で一緒に競馬を楽しんだ。紫が、エクセル田無にロイス3を招待した。
JRAのエクセルフロアは、JRAカード(クレジットカード)を持ち、さらに会員登録をしないと、入館ができないらしい、とホームページで見たことがある。
ちなみに会員が1人いれば、非会員3人まで同伴可能とのこと。
このことから分かること。紫は、エクセル田無の会員であるということ。
ということは、紫が『ご褒美』の日以外にも、エクセル田無に出入りしている可能性がある、ということだ。
5か月前の自分、ゆかりを必死に探している徹だったら、こんなヒントがあれば、絶対にエクセル田無の前に数週間は待ち伏せしているはずだ。いつの間にか自分の中から必死さが消えていることを、徹は恥じた。
紫と、間野ゆかりと会える可能性は…正直分からない。エクセル田無に行ったことがないから、建物の構造が分からない。
だが、紫の正体は、ロイス3が写真を見せてくれる。少なくとも一歩は前進するはずだ。
「ロイス3との実馬券勝負…面白い。受けて立とう」
徹もロイス3もエクセル田無の会員ではないということは、入館はできない。だから、携帯からPATで馬券を購入するしかない。
そこに煩わしさも感じたが、ここでこの提案を受けなければ、瀬田徹ではない。
徹はロイス3に、すべて了解の旨を返信した。