A'sW2-19 深刻な不振
徹にとって、紫から『ご褒美』の約束に漕ぎつけたことは、大きな前進だった。
嬉しい出来事だったが、オチオチできない状況にあることを、徹は十分すぎるほど自覚していた。怪人UMAの存在である。「!」マーク多用の、50代(紫 情報)の野郎。いきなり5ポイント差にされる事態は、1週前には想像もしていなかった。
そしてディフェンディング・チャンピオン、ロイス3。『ご褒美』の味を知っているアイツが黙っているとも思えない。
スプリンターズSまで、あと10戦。徹にとって、長く苦しい戦いになるのは間違えなかった。
そして…徹がイマイチ喜び切れない事情がもう2つあった。
1つは、肝心の夏競馬の実馬券が的中しないこと。宝塚記念での少額のプラス以来、的中がない。不況でボーナスが大幅に減額になった今、JRAへの預金増加は頭の痛い問題だった。
もう1つは、仕事のトラブルの増加。ゆかり失踪後、徹は仕事への集中力が低下した。【ANGEL's WINE】への参加以降、集中力は戻ってきたが、気分が滅入ったころにした仕事のミスの影響が、今になって噴出してきた。
トラブル対応に追われる毎日。ゆかりの存在は確認できたが、徹の気分はまだ凹んだままだった。