二ートの僕が子育てをしたら 第三章 二十三話
価格に対しての不思議
「これまでお前達に色々と話をして来たが、これらはセールスやマーケティングを実行する際に必要となるものだ。
今日はちょっと、今までの話とは違う話をしてみたいと思う。前に《希少》というパワーについて、お前らに話をしたのを覚えているか?
この希少のパワーを使いこなすことができると、あるビジネスの魔法が付随して作動するようになっている。それが何かわかる者がいるか?」
僕達三人はしばらく考えたが答えることができなかった。
「三上は赤のバックを購入した時に、価格については考えたか?この魔法のヒントはここにある」
三上さんが思い出すような顔をして、
「確かに少し高い値段だったと思うけど、別に気にはなりませんでした」
と答えると、
「じゃあ、仮にそのバックがショーケースに飾られているものでなく、セール品と同じような扱いで展示されているものだったら、購入していたか?」
というダイゴ先生の質問に、
「そう言われてみれば、そんな状態だったら手にしていないと思います」
と三上さんが答えた。
「でも同じバックだぞ。何も変らない。しかもセール品と同じ扱いだから、三上が買った値段よりも安く購入することができるんだぞ」
というダイゴ先生に、
「でも、やっぱり買わないな。魅力的じゃないから」
と答える三上さんに対して、
「そうなんだ。実はここに《価格の魔法》という不可解な現象が起こる。同じものなのに安くしても売れない。という不可解な現象だ。
このような不可解な現象があっても、多くの経営者は《安くすれば商品が売れる》というふうに考えがちだ。
でも、今三上が言うようにただ安くしても売れないものは売れないんだな。逆に同じ商品であっても見せ方によっては高い値段を提示しても売れる。
ここがビジネスの不思議な面でもあるのではないかと思う。わかりやすく説明するから、すぐにメモの用意をして」
とダイゴ先生が言ったので、僕達はメモをすぐに用意した。
「ブランドイメージが確立されている商品であれば、ディスカウントしなくても売れる。逆にどこに言っても気軽に手にできる商品は価格を安くしているところが売れる。食品などはその傾向が強いな。
つまり、価格が購買心理に与える影響というのは強いものもあれば、それほど影響が無いものがある。
ここで大事なのが、自分達が取り扱っている商品はどの属性にあるのかを知っておかなければならない。
安売りの属性にある商品と価格に左右されない属性の商品ではビジネスモデルに大きな違いがあるからな。
例えば、お前らが販売しているブレインゴールドは、価格に左右される場合もあれば、価格に左右されない場合もある。
これは販売モデルによって大きく分かれる。
例えば、このブレインゴールドをただの健康補助食品というイメージ戦略で販売すると、他の安い健康補助食品に埋もれて、その価値が消費者に伝わらなくな
る。しかし、このブレインゴールドだけが持つ特性や能力をわかりやすく、きちんと伝える戦略を取ることができれば、このブレインゴールドを中心としたマー
ケットが新たに作り出されることになる。
つまり付加価値という工夫こそが価格競争から抜け出すために必要だということだ」
僕達は一生懸命メモを取っている。
「ビジネスは独創的であることが大事だ。人と同じことをやっていると、利益を手にすることはできない。アイデアが全てだ。お前らが生きているリアルの世界は混乱の最中だろう。
この混乱時には企業の大きさや資本よりもアイデアが大きな武器になる。
革新的なアイデアを生み出せない企業は大手と言えども次第に体力を消耗して、いずれ苦しい状態に追い込まれる。
もし自分が小さく非力な存在と思う暇があるなら、脳みそに汗をかいてみろ。アイデア次第で想像もしない領域に到達することが可能であることを肌で感じることができるかもしれないぞ。
可能性がある内は挑戦をしろ。
可能性が無いと思うのであれば、可能性を少しでも広げれるように動くことが重要だ。自分の脳の中にチャンスが潜んでいることを感じることが大事だ。
ブレインゴールドは、その自分の脳の中に潜んでいる何かを開花させるようにも作られている。
飲み続ければ飲み続けるほど、その潜んでいるチャンスが表に出ようと動き出す。チャンスが出てくるまで脳を使ってみろ。ある時に思いもしないことを閃くようになるぞ」
メモが付いていけないほど白熱した講義が続く。
「価格なんてものはさほど問題では無いと言うことだな。もちろん、論外な価格をつけない限り。
後は付加価値次第でどうにでもなるという事だ。
高い値段を付けたければ、そこに手間隙を掛けるんだ。手間隙も掛けずに値段だけ高いものはマーケットから見放される。
値段に見合った価値が付けられているものは、高くても必ず支持をされる。そのことだけは忘れずに自信を持って販売することだ。
大事なことは付加価値を付けて、認めてもらうことだ。誰が売っても同じようなものは利益率が悪い。そんなビジネスは大きな企業に任せて置けば良いんだよ。
お前達はお前達自身のブランドを構築して、このブレインゴールドを広めてみろ。面白い世界が待っているぞ」
ダイゴ先生は笑顔でそう言った。
商品価格
お店に行くと付いている値札の裏にも様々な思惑が交差していることを、ダイゴ先生の話を聞いて初めて知った。
この商品を構成する一つ一つの細かい部分がヒットするかどうかの鍵を握っている。
僕達が何気なく手にしている様々な商品。その商品一つ一つをじっと眺めるだけで、そこには様々な情報が込められている。
それら商品に込められている情報をどれだけ感じ取れるか?
ここにビジネスの成否の鍵があるのではないだろうか。
やっぱりビジネスの奥は深い。
第二十四話につづく