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ニートの僕が子育てをしたら

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二ートの僕が子育てをしたら (番外編)

モテキ?



エディケーションセンター内を何気なく歩いていると、


「あの、マイヅル先生の講義を受講されている方ですよね」


見知らぬ女性が僕に声を掛けてきた。


「あの、私もあの講義を一緒に受講したことがあるんですよ。あの時にあなたが話していたことに感動して、一度お話ができればと思っていました」

と少し恥ずかしそうにしている。
僕はあまり女性に声を掛けられたことがないので、どうしたら良いのかわからず立ちすくんでいると、


「良ければ、そこの喫茶店でお話をしませんか?お願いします」


こんな僕の話のどこに彼女は興味を持ったのか良くわからないが、彼女の強引な誘いを断れずに、いつもマイヅル先生達とお茶をする例の喫茶店に彼女と入った。

席に着くなり、

「はじめまして、丸山美香と言います。美香と呼んでください」

という彼女に、

「あ、僕は坂上です。坂上隆です」

と答えると、

「じゃあ、私はたか君と呼びますね。たかくんは何を飲みます?」

何だか良くわからないが、凄く強引な女性だ。

それに良く見ると見た目も派手な感じで、例えるならば、僕が生きている現実世界でいう読者モデルのような雰囲気の女性だ

「たか君がマイヅル先生の講義で一生懸命話をしている姿を見て、胸がキュンとしちゃいました。いつかこうしてお話がしたい!と思ったら今日、夢が叶っちゃった」

とニコニコしている。
そんな彼女とは対照的に、僕はなぜだか心臓がドキドキしている。

多分、女性に対して免疫がないからだろう。

「たかくんは緊張している?私も緊張しているかも」

突然、彼女が僕の手を取り胸に押し当てようとした。
僕はとっさに彼女の手を振りほどき

「あ、すいません。突然のことに驚いてしまって」

と取り乱していると、

「たか君かわいい。私の思ったとおりの男性だ」

と小悪魔のような顔をして笑っている。
僕は内心、

「なんなんだ。この人は?僕をからかって何が楽しんだ」

と少しムッとした表情をした。
すると、

「ごめんなさい。怒らせちゃいましたか?そんなつもりじゃなかったのに」

と泣きそうな顔をしている。
僕は慌てて、

「あ、すいません。大丈夫ですよ。怒っていませんから」

と言うと、

「良かった!もう今度から怒らないでね」

とさっきまでの表情が嘘のようにニッコリ笑っている。

「なんだかわからないが、良からぬペースにはめ込まれているような気がする」

と内心警戒をしながらも、いつの間にか彼女のペースに乗せられている自分がいた。

「あの、丸山さん。良くわからないので僕は帰って良いですか」

と聞くと、

「美香って呼んで。それに私と一緒は楽しくない?」

とまた泣きそうな顔で言う。
僕は負けてはならないと思い、

「そんな訳ではありませんが、もうしばらくすると帰らなければならないので」

と言うと、

「じゃあ、美香の最後のお願いを聞いてもらえますか?」

さっきまでの態度が嘘のように、しおらしくしている。
僕はなぜだか申し訳ない気持ちになり、

「はい。何でしょうか?」

と聞くと、

「隆さんの大切な時間の内、一時間だけ私に下さい。もうこれからご迷惑をお掛けしませんから」

と涙目をしている。

「わかりました。一時間だけなら」

と答えると、

「嬉しい!美香。ねぇたか君少しだけお酒を飲みませんか?ご馳走しますから」

とはしゃいでいる。
そんな彼女に危険を感じた僕は、

「いや、お酒は良いです。あまり飲めませんか……」

と言い終わらないうちに、

「あのビールを二つお願いします。それとソーセージとポテトを」

と店員の人に注文をしている。
僕はもうどうにでもなれ……と少し諦めモードになってきた。

ビールと注文した料理が運ばれてきた。

「たか君と美香の再会に乾杯~」

とご機嫌の様子でビールを飲んでいる。
僕も少し喉が渇いたのでビールを飲むことにした。

「ねぇたか君。たか君はお付き合いしている人とかいる?」

突然の振りにびっくりして、僕はビールを噴出してしまった。
すると彼女がハンカチをバックから取り出し、

「大丈夫?」

と言いながら、上目遣いで僕のパンツにこぼれたビールを拭いている。
僕は一瞬ドキッとした。

「やばい!この人は悪魔だ」

と思ったので

「大丈夫ですから」

と彼女に席に戻るように促すと、

「緊張しています?せっかくこうして逢えた訳ですから、楽しくしましょう」

と笑っている。

まぁ一時間の辛抱だ。

と思っていると、

「たか君は今どんな講座を受講されているんですか?」

と彼女が聞いたので、

「ビジネスプログラムを受講しています」

と答えると、

「ダイゴ先生のプログラムですか?」

と彼女が真剣な顔をした。
僕は、

「そうですけど。どうかしました?」

と聞くと、

「私も受講しましたよ。ブレインゴールドを一万本販売しました」

と笑っている。
僕はびっくりして、

「凄いですね。一万本も販売されたんですか?」

と驚いていると、

「うん。良くわからないけど一生懸命頑張ったら売れちゃいました」

と笑っている。

人は見かけに寄らないものだ。

そんなことを思いながら僕は彼女に、

「あの、その話を少し聞かせてもらえませんか?」

と言うと、

「じゃあ、一時間私との時間を延長してくださいます?」

とニッコリした顔で聞いてくる。
僕は少し考えたが好奇心を押さえることができず、

「わかりました。聞かせてください」

と言うと、

「じゃあ、聞かせてあげよう。私の特別ビジネスセミナーを」

と得意げな顔を彼女がしている。
そして追加のビールを注文して、

「私はなぜだかわからないけど、ブレインゴールドが必要な人ってわかるの。そういう人達に積極的に声を掛けたわ。しかも、身なりの良い人を選んで」

とブレインゴールドを一万本販売した経緯を話してくれた。
とても興味深い話ではあったが、僕には参考にならないような気がした。

そんなことを思いながら時計に目をやると三時間が経過している。

まぁ、この世界に置いて時間はあまり関係ないが、この人と長くいると危険な香りを感じるので、

「今日はありがとうございました。とてもおもしろい話を聞かせて頂いてありがとうございます」

と話を切り出すと、

「ダメ。今日は帰らせないぞ!」

とかなり酔っているご様子だ。
そんな彼女に困っていると、喫茶店の外から三上さんが見ていることに気づいた。

「あのちょっとトイレに行ってきます」

と彼女に伝えて僕は三上さんのところに向かった。

「三上さん、大変なことになったよ。良くわからないうちに巻き込まれてしまって」

と言うと、

「そうなの?結構楽しそうな感じに見えましたけど」

と意地悪なことを三上さんが言う。
僕は涙目になりながら、

「助けてください。もうあの人には関わりたくないんです」

と三上さんに懇願すると、

「しょうがないわね。これは貸しですからね」

と三上さんが彼女の方に向かって行った。
そして突然、

「あの私の彼氏に何か用ですか?今から連れて帰ります。お金はここに置いておきますね」

と彼女を睨みながら言った。
すると例の彼女が、

「なんだ。彼女がいたのか。失礼しました。ご勝手にどうぞ」

と、とても怖い顔をしている。
三上さんはそんな彼女に、

「今後一切彼に関わらないで下さいね。じゃあ」

と言うと、

「はい。人のモノに興味はありませんから」

と残ったビールを飲んでいる。
三上さんは戻ってくるなり、

「もう何やっているの?ちゃんと断らないと」

と僕にお説教をした。
僕はただただ三上さんに頭を下げることしかできなかった。

それから数日後ダイゴ先生から、

「まぁ、深い話はできないが。彼女は私の講座の受講は永久に出来ないことになっている」

という話を聞いた。
何か問題を起こしたのだろう。

良くわからないが三上さんのお陰で僕は助かった。

女の人には用心をしないと行けない。

僕は心に強く誓った。

余談ではあるが、あれから数日後に三上さんにランチを奢る羽目になった。
もちろんお金もお返しして。

(終わり)