今回ご紹介いたします動画は、2020年1月16日にライブ配信されたもので、

にじさんじの所属ライバーでびでび・でびるさんが、オーストラリアの大規模な森林火災で、被災したコアラを救うための募金活動に協力を呼び掛けたときの動画です。


でび様はおそろしい悪魔であるにもかかわらず、視聴者や他のライバーによってコアラに(わざと)間違えられることが多く、そのたびに自分は悪魔だと訂正してきました。

今回の募金を行った理由は、コアラに恩を売って「でび様はコアラではありません」と言わせるためだとしています。
 

 



でび様は動画内で、「原因はまだはっきり特定されていないので、ぼくは何も言わないが」と、原因についての特定の主張は控えるとしつつ、

事実として、森が大量に燃え、多くの動物が犠牲になり、人々の住宅も多くが火災によって被害を受けたという説明をします。


でび様はまずTwitter上で、オーストラリア火災に対応しているコアラ病院に10万円の寄付をしたことを発表し、

更に当該ツイートをRTすることで、RT数の分だけ追加して募金を行う事を宣言しました。さらに「お前達も自ら検索して100円からするがよい」と呼びかけました。





でび様が募金したサイトには、手数料が取られないという特徴があり、その分募金額が多くなります。

でび様は視聴者に対して、必ずここに募金しろという意味ではなく、自分で調査し、納得した機関やサイトに募金してほしいと呼びかけています。


動画では、でび様が募金した際の手順を解説し、募金する先について動物、自然、人間の三種類が挙げられています。

でび様は、数千棟もの人間の住む家が焼け、何千頭ものコアラが死亡していると説明し、他の動物も多くが犠牲になったと指摘しています。

 

 


また、でび様はクレジットカードを持っていないとネットでの募金ができないことについても触れ、

コメント欄には、「悪魔なのにクレカ持ってる?」「でび様、クレカ取れたのか」などのコメントが書かれました。


でび様のツイートに対して、募金をしたと言う返答が多く寄せられた事に触れ、

募金をしたがその事について投稿していない人や、募金はしていないがリツイートをした人、リツイートをしていなくてもそのツイートを通じて森林火災が起こったことを知った人もいると語りました。





でび様は、人間の歴史の中で起こったすべての事件を知ることは不可能であるとしつつも、知るという行為が重要であると述べました。

コメント欄には、「デビ様優しすぎます」「やさしい」「こんなんもうコアラの王ですやん」「天使じゃん」といった、でび様の優しさに対する視聴者の反応が見られます。


動画の最後には、「ぼくから逃げたかったら滅茶苦茶善行を積まなくてはいけない。善行を積んだうえで神に許しを請わないといけない。

ただ、ちょっとやそっとの善行じゃ逃がしてあげないけどね。逃げられるように善行の貯金をしておくとよい」と述べ、独自のユーモアを織り交ぜながら締めくくりました。
 

 



2019年9月から2020年2月まで続いたオーストラリアの森林火災は、甚大な被害をもたらしました。

オーストラリアでは毎年森林火災が発生しますが、2019年は特に異常な状況が重なり、被害が大規模化しました。


この年は平均降水量が史上最も少なく、気温も過去最高を記録し、12月には熱波が襲来するなど、空気が乾燥している状態が続きました。

2019年9月から多くの火災が頻発し、森林火災が拡大しやすい条件が組み合わさり、全国的な被害へと拡大していきました。





火災は、オーストラリアの南東部で発生し、約9万7千平方キロメートルの森林を焼失させました。

この大規模な被害により、一部の野生動植物は完全に死滅した可能性があり、多くの固有種も生息地を失いました。


以前は毎年平均して、オーストラリア国内の森の1パーセントが焼失していましたが、2019年9月からの森林火災では21パーセントの森が焼失しました。

大規模な森林火災により、34人が死亡し、数千の住居およびビルが焼失、数万人が避難を余儀なくされました。
 

 



さらに、30億匹以上の動物が死亡もしくは生息地を失い、コアラは数万匹が命を落としたとされています。川には灰や汚物による汚染が広がり多数の魚が死滅しました。

生き延びた動物たちも生息地が焼失し、餌不足により生態系が大きな打撃を受けました。


オーストラリアは元々、火災が発生しやすい乾燥した気候であり、全体に広く分布するユーカリは引火性物質であるテルペンを含んでいます。

落雷などの自然現象も火災の発生源となります。





火災は深刻な被害をもたらす一方で、オーストラリアの原生植物の中には、進化の過程で火災を生殖の手段として活用するものも存在します。

例えば、バンクシアと呼ばれる植物は火災の刺激を受けて種をまき、ユーカリの種は火災を経験した後の雨によって発芽します。


オーストラリアに生息する鳥たちも火災に適応した習性を持っており、

トビ、フエナキトビ、チャイロハヤブサなどは火がついた枝を草原に落として発火させ、逃げる餌を捕らえることが知られています。
 

 



かつては、オーストラリア大陸で発生する火災は自然環境の一環として、生態系に組み込まれていました。

この地域の原住民であるアボリジニも、降雨が多い限られた地域で焼畑農業や野焼きを行い、自然と共存してきました。


西洋人が大陸を管理するようになり、伝統的な管理が失われると大規模な火災が起こりやすくなりました。

西洋人の無計画な森林伐採、野焼き、火の管理、そして燃えやすい植物の導入などが増加し、さらに気候変動の影響も受けながら、森林火災が拡大するようになりました。





メルボルン大学の環境保護活動家である教授ティム・フラナリーは、「西洋人が大陸を管理するようになり大火災の悲劇が起こるようになった」と述べています。

2001年の研究では、伝統的な野焼きの方法を捨て、制限のない伐採と野焼きが行われた結果、乾季に大規模な山火事が発生しやすくなったと指摘されました。


2017年の別の研究では、大木を伐採し、低木しか残らなくなったことが大火事の発生を促進したと報告されています。

燃えやすいアフリカ原産のガンバグラスが、1942年から2014年まで牧草として大量に植えられ、在来植物を駆逐しながら広まり、火の手を拡大させる一因となっています。
 

 



森林火災の原因は、自然現象として落雷や、強風による送電線の倒壊、人為的なものとして、タバコやマッチのポイ捨て、野焼き、焼き畑、キャンプファイヤー、

放電などで金属をつなぐ溶接作業や、金属を削るグラインダーの火花などが挙げられます。


かつては生態系に調和していた火災が、人為的な要因と気候変動の影響を受けて、環境に対する脅威となっています。

2023年12月現在、オーストラリアの森林火災の被害は、まだ完全に回復したとは言えません。政府やNGOなどの団体は、森林火災の被害を回復するために、植林や種まき、野生動物の保護や餌付けなど様々な取り組みを行っています。