骨折してから、随分多くの人が心配して連絡をくれた。
病気や怪我をすると友達が増える気がする。

「安静にしてね。」「ゆっくり休んでね。」というありがたいものから、「ダサっ!」という返す言葉もないメールを送ってきてくれた友達もいた。
(へぇへぇ、その通りでごぜえます)

なかでも一番多かったのが、「カユイよー」というお言葉。
言わなかった人はいなかったというくらい言われた。

別にかゆくなかったのに、かゆい気がする。

「カユイよー」

言われた瞬間、届かない足首とか足の裏とかがカユイ気がしてくる。

「これ、おいしいよー」と言われても不味いものはまずいし、「甘いよー」と言われても苦いものは苦い。
しかし! 「かゆいよー」はかゆくなくてもかゆいのだ。
しかも、「かゆくないよー」といわれてもかゆい。
要は、「かゆい」という言葉が発せられた瞬間、「かゆい」は現実のものとなる。

なぜだ?!

そういえば、「痛いよー」という言葉も同じような作用を持っている気がしてきた。