Cube Sat=人工衛星のミニチュアー
電子回路彫刻に挑戦
タイトルは、「ATtiny85と成果物」としていますが、実質は「空中配線」の話がもっぱらです。
この間、ディスプレイを浮かして配線するなど少し「空中配線」ぽいことをする機会があったことから、本格的な「空中配線」を、いつかはやってみたものだと思っていました。
意表を突かれる宙空に浮く電子部品、基板を使わず、電子部品をつなぐために宙空に縦横無尽にかつ整然と張り巡らされた真鍮棒の回路の美しいこと。これに魅了されない人はいないでしょう。
外国では、「Free-formed electronic circuit sculptures(自由形式の電子回路彫刻)」などと呼ばれています。芸術扱いしているところがいかにも西欧的です。
「空中配線」よりもう少しイメージにあった日本語を考えるなら、「空中回路」というのはどうでしょう。ストレートで、そのまんまなところが日本人の文化的、思想的レベルにマッチして、受け入れやすいように思えます。近いところでは「立体回路」も考えられますが、こちらはすでに使われている言葉であり、イメージ的にも少し違う感じがします。
実際に、「空中回路」というか「電子回路彫刻」に取り組んでみての感覚から言えば、「空中結線」がぴったりです。宙空に浮かした電子部品をハンダ付けする四苦八苦は、まさに「空中結線」、否、「決戦」を強いられた気分です。
ソーラーセルとスーパーキャパシタ
さて、今回苦闘を強いられた「電子回路彫刻」は、Mohit Bhoite さんの作品の中にあったTiny Cube Satelliteです。くわしくはこちらをご覧ください。
ソーラーセルを太陽光パネルに見立てた人工衛星のミニチュアです。通信用アンテナのつもりかと思われるLEDを、ATtiny85マイコンチップを使って点滅させます。
面白いのは、ロケットモーターを模しているのかスーパーキャパシタを使用しているところです。ソーラーセルが発電できない時、スーパーキャパシタという電気二重層コンデンサ―に蓄電した電気を使ってLEDが点灯できるのです。知らなかったのですが、比較的新しい技術なんですね。
スーパーキャパシタは爆発することもあるそうで、もちろん感電の危険もあり、試験は恐る恐るでした。怖くて満充電していませんが、使用した3.8V、10Fのスーパーキャパシタは、LEDを20分以上連続点灯でき、自作した電子オルゴールも動きました。
ソーラーセルの方は、単結晶の123MW、2.76V 、ANYSOLARのSM141K04LVに、ピンをハンダ付けして電源としたところ、晴天下でLEDが点灯するのが確認できました。Cube Satelliteでは2枚使用します。高額で無駄遣いも甚だしいのですが、勉強のためと割り切って購入したものです。
↑青い筒状の部品がスーパーキャパシタ
写真は、ブレッドボード上で組んだソーラーセルを除いたCube Satelliteの回路です。ATtiny85に書き込んだプログラムは、LEDが2、3回瞬いたらしばらく休止、これを繰り返すもので、Mohit Bhoite さんのサイトからコピペしました。
何度もくじけ、筐体を簡略化
電子回路彫刻としては初心者向き、いたって簡単な回路にもかかわらず、苦闘を強いられたのは、真鍮のワイヤーを曲げたり、接着するのがうまくできずに手こずったから。
真鍮のワイヤーは、安く手に入れようと向かったホームセンターには推奨の0.8mm径がなく0.9径を使いましたから、うまく曲げれなかったのかも(言い訳)。
ハンダ付けは、1ヶ所に何本ものワイヤーを接合するには、ハンダ付けのたびにハンダが溶けて接合部が離れバラバラにならないよう、ワイヤーをみな固定でもしないと無理。それを立体的に行うなんて、なおさら私には無理です。溶接は知らないし。
マイコンチップだって、直にハンダ付けするのは下手なものにはリスクがありすぎで、ICソケットを使いました。
↑自作Cube Satelliteハンダ付けが難しく、躯体はキューブをやめて簡略化(T﹏T)
何度も失敗を繰り返し、くじけそうにもなり、最後は人工衛星の躯体となる立方体を一筆書きする要領でワイヤーを曲げてつくり、なるべくハンダ箇所を少なくすることにしました。ワイヤーを曲げるのが下手で不細工になったにしても、こちらの方が主要回路部分を筐体の中に通すにも楽です。
簡略化した筐体にあと3本ワイヤーを追加すれば出来上がりなのですが、無理して下手を打つくらいならと結局半完成のままにしました。キューブぽくはありませんが、これで勘弁願うことにさせてください。
↑簡略化でキューブぽさのない自作のCube Satellite 赤くLEDが瞬いています
Cube Satelliteにはスイッチがありませんから、最後のハンダ付けの瞬間から、プログラム通りにLEDが間歇的にブリンクしだしました。
動いたからまだしも、自作Cube Satelliteのあまりの不細工さ、あるべきアンテナ、ロケットモーターが中心軸上にない赤面もののお粗末さは、見るたびに「電子回路彫刻」に挑戦するなんていかに身の程知らずであるかを甚く思い知らされます。
太陽光のあり・なしの下で実際に動くかどうか
↑空中配線同士が接触しないよう要注意
大事なことは、太陽光を浴びてブリンクするか、本当にソーラーセルによりスーパーキャパシタに充電できるか、そして太陽光のないもとでも充電された電気を使ってLEDが発光するかです。
この確認がまたやっかいでした。太陽光の下では周囲が明るすぎることもあって、LEDの点灯が確認できなかったり、1日太陽光にさらした後、LEDを直にスーパーキャパシタに接続すれば点灯し、ソーラーセルからスーパーキャパシタへの充電がなされていることは確認できても、マイコンチップに接続した本来のLEDは点灯しないまま。
回路をチェック、ハンダをあてなおしているうちに、再び発光するようになったものの、翌日また太陽光にさらしてみたところ、充電すら十分にできていなかったりの有様。
どうやら、ハンダ不良ばかりでなく狭い空間に張られた空中配線同士が接触するのが原因のようです。組み立てなおす際に不用意に触れてしまったり、ひょっとすると炎天下の屋外での熱膨張のせいだったりして。漏電していれば、そりゃ点くものも点きやしません。
なお、Mohit Bhoiteさんによればディープスリープモードを使うこのシステムは単独で数日間稼働するはずですが、実際には夜半で充電切れになりました。LEDに付ける抵抗を200Ωでなく150Ωにしたことや、回路のチェックでかなり電気を消費したこと、雲が多く充電が不十分だったなどの影響が考えられます。
真実、システムが機能していると言うには、もうしばらく稼働させてみてからにすべきかもしれません。
ちっぽけなソーラーセル、見た目は電解コンデンサーと変わらないスーパーキャパシタ(電気二重層コンデンサ―)。いずれも結構使いようがありそうだと分かったのは収穫です。
↑現在の自作Cube Satellite/ハンダ付けの際LEDを焼き切ってしまい青色に替わっています
《追記》
自作のCube Satelliteは、見てくれを別として、システムはほぼ完動とみなせます。LEDは、日中太陽光の下でもまばゆく輝き、十二分に視認できます。また、一晩中点滅し続け、なお明るさを保ち続けていることを現認しています。
↑まるで宇宙空間にいるかのようです












