エア・スポーツをオリンピック競技にー(1) | virt_flyのブログ

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↑スイス・ミュンスターの飛行場を発航したASK21。西方にはユングフラウ

東京オリンピックが終わりました。

 

 

 

招致の段階から賄賂だの、競技場設計の変更、ロゴマーク盗用、放映権や猛暑の時期での開催問題、大会理念の「多様性と調和」とはかけ離れた会長をはじめ幾人もの辞任劇、コロナのもとでの開催強行など、あまりに首をかしげることの多い大会でした。

 

問題を遅れた日本の現状ととらえ、あいまいにすることなく検討していかなければ、日本の再生はないのではと憂います。

 

さて、ソアリング好きが思ったのは、セーリング競技が五輪にあるのに、同じく風を読むソアリング競技はないのかということ。

うーん、ヨットでは体をはって船を操っていることを思えば、筋力、体力を使わないものはスポーツとはみなされないのか? では、パラグライダー、紐を引っ張っているだけか。いや、体重移動で操るハンググライダーがあるじゃないですか。

 

アジアオリンピック評議会(OCA)が主催するアジア競技大会では、2018年にパラグライディングが採用されています。なんと、eスポーツまでが公開種目に。2022年の予定には、eスポーツが正式競技となるとともに、チェスや囲碁が再び競技種目にあがっています。ただしパラグライディングはなくなっています。

 

考えれば、筋力・体力だけでは試合に勝つことはできません。集団競技だとなおさら、作戦や駆け引きなど知力も必要です。であれば、チェスや、囲碁などもっぱら知力が物を言うゲームだって、オリンピックの競技種目に加えてもよさそうなものです。競技の中で美しさを競うことはあっても絵を描くような競技はないように(1912年から1948年までの間、建築、彫刻、絵画、音楽、文学が芸術競技として五輪の正式競技だったことがある)、採用されないのには、それなりの理由があるのでしょう。

 

それはさておいても、スポーツを運動競技と限定するならば、自動車レースやモーターボートなど人力でなくもっぱら機械の力に依拠したモータースポーツは、明らかにスポーツとは別なカテゴリーであることは一目瞭然です。

 

うっ、馬術競技はどうするの? 馬を乗りこなす身体能力が求められるからいいのかな。

て、言うか、弓、槍、フェンシング、馬術、柔道など、闘争、戦争の技を競っていない?

 

念の為、スポーツの起原を調べてみたら、やはり古代エジプトやローマ時代には兵士の強化目的があったようです。それより以前の狩猟社会では洋の東西を問わず狩猟の道具を用いて技を競っていた様子が壁画や記録からうかがえるそうです。

 

ちなみに、古代ギリシャのオリンピアでは4年に1度(当初8年)、都市国家間の戦いを休み、ゼウス神に捧げる体育や芸術の競技祭「オリンピア祭」が開催され、記録が残る紀元前776年からローマ帝国のキリスト教国教化のために最後となる起原393年までの約1200年間、戦争で中止となることは一度もなかったということです。

 

スポーツの語源も調べてみました。ラテン語の「deportare(デポルターレ)」とされ、「運び去る、運搬する」という意味。これが転じて中世フランス語で「気晴らしする」という意味になったんだそうで、「desporter」という言葉はイギリス人によって「disport」と省略され、16世紀以降さらに省略され「sporte・port」と呼ばれるようになったといわれています。

 

ソアリングは、風次第で、風を読む力が試されるものの、ほぼほぼ身体活動を伴わない点で、少なくともグライディングは運動競技というには無理がありそうです。しかし、「気晴らし」には十分なるでしょうからなんとかオリンピック種目にしてもらえないものか。エア・スポーツもすでにグライダーではなくパラグライダーへと構造変化していて、グライダーでは古すぎでかもしれませんが。

 

 

〈参考〉

東京大学ホームページの「古代オリンピックの知られざるリアル」

笹川スポーツ財団のホームページの特集「スポーツ 歴史の検証」