なぜイヤな記憶は消えないのか。

榎本博明 2019


自分の過去の記憶というのは、

現在の心理状況をもとに再構成される。

つまり現在の心理状態によって思い出される

過去の記憶の様相が違ってくる。


不機嫌な人がネガティブな出来事ばかりを

愚痴っぽく語るのは、

ネガティブな気分で過去を振り返ったり、

周囲の出来事を観察したりしているから。

不機嫌な気分に合わせて、

記憶の中から嫌な出来事ばかりを拾い集めたり、

嫌な出来事ばかりを記憶に刻んだりする。


日々を気分良く過ごすことが大切。

気分良く過ごしていれば、

ポジティブな記憶が作られていくし、

ポジティブな記憶が引き出されやすくなる。


嫌なことを思い出し、反芻している。

そんな自分を見つけたら、

即刻、別のことに目を向ける。

何か別のことに没頭する。

運動、料理、本、映画、友人家族と喋る。


うつ気分に陥りやすい人は、

ネガティブな記憶を反芻する傾向を

持っていることが多い。

ネガティブな記憶の悪循環を断ち切るには、

気分が落ち込んでいるときに、

過去を振り返り嫌な出来事の記憶を

反芻するのは禁物。


ネガティブな出来事が

起こらないようにするのは不可能だか、

その受け止め方を変えることはできる。


未来予想図は過去の実績をもとに描かれる。

過去の実績。つまり過去のデータというのは、

出来事そのものではなく、

出来事に対する評価。

つまり素材そのものではなく、

評価を伴うものであるから、

ひとつの解釈に過ぎない。


記憶されているのは、

"事実" ではなく "解釈" であり、

事実に "意味づけ" されたもの。


人と語り合うこと。

私たちは人と話しながら

相手の視点を取り込むという

心の作業をしている。


。。。

smiling。