東宝版エリザベート(2015)蔵出し | Virgoノート

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タイトルは誤字ではございません!
去年2015年版の感想メモの蔵出しです。
2016年版も現時点で2回ほど観て参りまして、地方公演であと4回は行く予定にしているので、いずれ2015→2016の変更点(結構あった)とかもサラサラッとまとめられたらいいな〜と思っております。
というわけで、こちらは2015年版の感想ですのであしからずご了承ください。
あたかも昨日観に行って来たかのようなハイテンション風で始まりますが、あくまでも去年のやつです。
内容としては全体のインプレッションのみで細かい演出とかキャストの感想は入っておりません。

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ヒャアッホーイ!!!
ついにエリザベートが開幕しましたね!!!
もー嬉しくて嬉しくて嬉しくて本当に嬉しくてもーどうしたらいいかわかりません!!!
とりあえずすでに2回観てきたので、さらっとインプレッションだけまとめておきたいと思います。ちなみに2012年の前回公演では1回ごとに感想を書いてまして、我ながらよくもまああんなに書いたもんだと呆れます。最近誰かと連れ立って行くことが多いので、一通り語り合ったら満足しちゃうんだよね。
さて、今回の話題はなんといってもキャスト・演出・振付・衣装・美術完全リニューアルというところ。しばらくエリザベート観てなかったわ〜という方も、今回は久々に行ってみようかしらって方が多いのではないでしょうか。既存のファンはもちろん、去年の宝塚の明日海さんのお披露目公演で初めてエリザベートを観て〜って方もいらっしゃったと思います。更に言えばエリザベートを全く知らなかったジャニーズファンの方なども戦列に加わったと思われ、もうチケット取るの本当に大変だったよね。
本っ当に大変だったよね。
劇場内は老若男女が均等分布しており、年配のご夫婦連れや、男性の一人客や、それこそジャニヲタと思しき女の子や、とにかく色んな層の方々がいらっしゃいました。そして例によって周囲の方々の会話に耳を澄ますと、本当にハードリピーターが多いんですよね〜。ただのリピーターじゃなくてハードリピーター。私もエリザベートだけは何十回でも見られると公言して憚らないんですが、つくづく多くの方を魅了する作品なのだなぁと感じます。あとそのハードリピーターの方々が初エリザベートなご友人を連れていらっしゃって、一生懸命解説されている構図も多かったですw
リニューアルに話を戻しますと、前のバージョンでは好きなポイントがたくさんあり、「あのシーンのあそこはどうなるのか」「あの衣装好きだったんだけど…」「あの演出はなくなるのか?!」とか色々ハラハラしながら観に行ったわけですが、結論としては…。
総じてめっちゃよかった!!!
超よかった!!!(超って言うな)
やっぱり私東宝版が一番好きだわ〜!!!
というわけで早速順番に語って行きたいと思います。

まずは美術についてですが、ハプスブルク家の霊廟というコンセプトはそのままに、デザインや色彩は全く別物になりましたねー!!客席に入ると真っ先に目に飛び込んで来るのは舞台です。緞帳は使用しておらず、開演前からメインのセットがそのままさらされています。仄青くひっそりとした霊廟の光景。横一列に並べられた3つの大きな石棺。上手と下手には傾いた石の柱と崩れたアーチ。そこから客席に向かって広がるハプスブルクの鷲の翼。客席ごと大きく包み込まれるような感覚で、どこか不安をかき立てられます。漂う終末感と、沈没船の中にいるよう仄暗さと、朽ちて壊れたモノだけが発する独特の美しさと静謐。これだけでもはや一つの作品と言っても過言ではないのですが、舞台装置としての使われ方がまた面白いです(いや、そもそも舞台装置なんですけど)。3つの石棺は横に並べると舞台上段を左右に横切れる一本の通路に、離して配置してフロートようにも使われたり、回転させて違う角度から見せると違う場になったりします。あと本来の用途である棺桶としてももちろん使用されます!開演前、ただの柱とアーチの一部に見えたオブジェクトは、実は鉄格子を彷彿とさせる鏡のパネルの端っこです。このパネルが場面ごとに出たり引っ込んだりして、鏡になったりスクリーンになったり舞台を遮蔽したりします。
こうした舞台装置としての機能とデザインとの調和が本当によくできたセットだなーと感じました。あと、あの鷲の翼を見ながら開演を待つ間のなんとも言えない感覚がね…。

そんでもって衣装について。これがまた素敵です!扮装写真が公開されたときにもちょっと書いたのですが、これまでの印象を全く崩すことなく、よりディテールの繊細で、より洗練された雰囲気の衣装になってるんですよね!一幕ラストのエリザベート&フランツとか、「私が踊る時」のエリザベートとか、大人ルドルフとか、ここはこの衣装じゃなきゃヤダ!ってところをちゃんと損なわず残してくれているし、しかも微細な変更がさらにフォルムを引き立てているのがすごい。特にエリザベートの肩のラインの出し方はこだわっていますよね。
逆に以前とはガラッと変わった衣装もあります。お見合いシーンのシシィのドレスは、肖像画に基づいた以前のものもよかったんですが、私的には今回のデザインがすごくヒット。白基調でウエストだけピンクのリボンで締めてるのが超絶可愛らしいですし、なによりフランツのプレゼントのネックレスがファッションとして調和するのが素晴らしい。以前は首にチョーカーを着けてて、そのチョーカーの上からネックレスをするので、ネックレスがただの小道具だったんですよね。
あとマダム・ヴォルフ&女の子たちの衣装もよいです!マダムのクリムト風の上衣や、マデレーネのキモノ風の上衣とか。淫靡と頽廃とゴージャスとエレガンスが同居しててほんと好き。
あとルキーニも地味にマイナーチェンジしてるのと、キッチュのときのあのラメラメのジャケットがさりげにボーダー柄なところも震えます。
そしてトート閣下と眷属の方々の衣装!!閣下の衣装は前のも好きだったんだよ!でも今回のも超絶素敵なんだよ!!ホネだよ!ドクロだよ!ダンサーズなんかもうホネホネロックだよ!ホネ好きの私は大興奮ですよ!ハァハァ!…失礼しました。
髑髏は死の寓意です。トートは死ですから寓意もへったくれもありません。しかしそもそもエリザベートという作品において、トートというキャラクター自体が死そのものの寓意的な存在だよなーと思えば、なんだか寓意の入れ子構造のように感じて面白いです。トート=死とは言っても、私は結局のところいつもトートを人格を持ったキャラクターとして見ているのですが、ここに髑髏というモチーフを与えられることによって、トートの「死そのもの」という抽象的な側面がより強調されて感じられます。死という概念の強調は、このエリザベートという作品のテーマをよりシンプルに強調しています。つーかそんな屁理屈をこねなくとも、単純にドクロかっちょいいです。あと羽根も。
今回の閣下の衣装で私が特に好きなのは、「最後のダンス」のときのあれ。左の肩口にドクロ、そこから肘下までつながる脊柱と肋骨風のホネの装飾。黒のジャケットは右半身と左半身で素材が異なっていて、右側はマットな漆黒のベルベット調、ホネのついてる左側はやや光沢を感じるレザー調。背中を向けると左右できれいにツートンに分かれていて、それがしびれる程格好いいです。
あとメインビジュアルにもなっているラストの白い衣装は、宝塚版のラストを彷彿とさせますよね。しかしこれまた右半身と左半身の非対称っぷりが胸熱でして、左側は装飾一切なしのド直球の白、右側はシャツ:グレーのインクを流したようなマーブル、パンツ:白にも黒にも見える羽根の装飾、ブーツ:ドクロ…ってな具合。
どの衣装も本当に素敵で、生澤さんのデザイン画集を出してほしいくらいです!舐めるように見たいです。

全体の印象ですが、私的におや、と思ったのは、エリザベートとトートの距離感がぐっと近いところにある点。単に接触が多いとか物理的な距離感だけでなく、精神的な距離も以前より近くなっているような気がします。随所で、エリザベートが死を意識したときにトートが現れるというのが非常にわかりやすく演出されていて、また、その距離感の近さによってエリザベートとトートが鏡合わせの存在であるということをより明瞭に感じさせられます。今までのトートってどこか超越者然としていて、それこそ黄泉の帝王って感じだったのですが(それはそれで素敵でした)、今回のトートはもっとプライヴェートな存在に見える。オーストリアの皇后と黄泉の帝王という無関係な別個体ではなくって、エリザベートにとっての死がトートで、トートにとって生とはエリザベートで…という対の存在のような。テーマとして、二つのもの…例えば生と死、例えば束縛と自由、例えば死と愛という、並び立ったり相反したりするものの対比が浮き彫りになっているように感じます。ウイーン版の愛と死の輪舞みたいな感じね(あれは本当に素敵な歌詞でしたね)。
それとフィナーレの印象が少し変わりました。前はエリザベートが彷徨の果てについにトートと邂逅を果たしたよー!!という壮大でドラマティックな雰囲気だったのですが、今回はその劇的な感じが少し鳴りを潜めて、もっとしっとりとした印象になっています。前回は私わりと即物的に感動して満足して家に帰ったんですけど、今回はなんていうのかなー、客を単純に感動させただけで帰らせないっていうかw 単にエリザベートがトートと結ばれて偉大なる愛が顕現して大団円っていうんじゃなく、それでもエリザベートが依って立つのは自分自身のみっていう本来のテーマをハッと思い出させてくれるんですよねえ…。二人が結ばれるところにフォーカスが来るんじゃなくって、それでも最後の最後まで「私だけに」って歌っているエリザベートに焦点が当たっている感じがします。ついでにそこで「俺だけに」って歌ってるトートとの関係性における矛盾のなさについても。「エリザベート」ってどういう物語なんだろう、エリザベートにとって死っってなんだろう、そもそも死とは…って、フィナーレからいい意味で深く考え込まされます。
でも若いカンパニーが伝えてくるものはより原初的なパッションで、パフォーマンスとしては前のバージョンよりもシンプルで情熱的です。ここが面白いところで、細かい点では生と死というテーマが強調されているのに、全体を通して見るとエリザベートとトートのロマンスも色濃く感じるんですよね。今回の演出とキャスティングの妙だと思うのですが、テーマをしっかりと確立しながらエンターテインメント性をより高めているというのはすごいなぁと感じます。あと改めて思うのは、前回公演は非常に円熟したカンパニーだったなーとしみじみ。当然といえば当然かもしれないんですけど、今回と比べると重厚で複雑で重層的で、その重さと複雑さが観ていてスッと入ってきて、あまり考える必要がなかったような気がします。言うなれば、問いに対する答えがすでに提示されていたのが前回、問題提起されて自分で考え込まされるのが今回…という印象かな。まあ所詮公演序盤の感想なので、終盤にさしかかるとまた印象も変わるかもしれませんね。
あと今回、王冠を戴いた「E」の文字がモチーフとして登場していて、それがとても印象的でした。

大まかな感想はこんなところです。

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以上、2015年版のメモでした。
…つーか改めて読み返してみると、2016年版では私が騒いでたシシィのお見合い衣装とマダム&マデレーネの衣装が変更されているのよね…。
気に入っていただけにちょっと悲しい。