今年の芥川賞受賞者はおふたりで、お二方とも女性。

しかも若さとその容姿でインパクトを与えるものでなく、

人生の味を十分にかみしめたおふたりの女性の受賞だった。




ずっと小説家になりたかったと語るおふたりのインタビューは、

それぞれに心に響くものがあった。

「家庭にいた時は悔しくて」と

職業婦人に憧れを持ちながら主婦になったという若竹千佐子さんは、

ご主人に先立たれた55歳から本格的に小説を書くようになったという。

「どんな世界に生きていても、無駄なものは一つもない。」
(若竹千佐子さん)


小説を書くことが己の業だという石井遊佳さんは、30代から投稿を続けていたという。

「機が熟した。こうなってみて、これまでの時間が必要だったのだと思う。」

「今まで自分を支えてくれた人のおかげでこの受賞がある。」
(石井遊佳)



…それぞれの言葉に励まされた。

記者とのやりとりも一言一言が穏やかで、言葉が感情に寄り添っていて、

これまで生きてきた時間の深みも伝わってきて

とてもいい受賞者会見だった。