小学生の頃は、校庭にある遊具が、まさに何よりの遊び道具だった。

ブランコはひっくり返るんじゃないかってほど宙を仰いで漕いだり、

勢いつけて手を離して、さあ、どれだけ遠くまで飛べるかって、競ってた。

鉄棒も足をかけてぐるぐる回って、その回数を競ったり、

ブンブン遠心力をつけてからパッと手を離して

ぐいっと伸びた形で、やはりどこまで飛べるかってやっていた。

今はそんな危ないことする子は滅多にいないと思うけど。

「もう誰もかなわないよ〜」

「もうやめようよ〜」

と仲間たちに言われてもなお、自分の中で距離を伸ばそうと日暮れまでやっていた。

それをやったから何があるかっていうと、

気持ちがぱあーっと明るくなるのだ。

その日の帰り道が、ものすごく楽しい気分になったり、

他愛のないおしゃべりがいつも以上にきらきら輝いたり、

靴を脱ぎ散らかして、ドタバタ風呂場に駆け込んで

砂ぼこりで汚れた手と足をバシャバシャ洗ってから

ほおばるスイカがむちゃくちゃ美味しかったりするのだ。

どこまで飛べるかって、ただそれだけなのに。

それだけに夢中になれる。

そんな時間ばかり追いかけていたんだ。