ふと気づけば、前を歩く人がいなくなっていた。
という時は、いずれ訪れるのだろう。
師と仰ぐ人たちがいなくなってしまったら、
どうすればいいんだろうと時々不安になる。
私にとって師とは、たとえ10の視点でモノを見たつもりでいても、
さらにもうひとつの視点を投げかけてくれる存在だ。
順当に行けば先を歩くものから去っていくのが常なのだから、
失うことを恐れるより、
今のうちに吸収できるものは偏食せずに貪り食って、
自分の骨と肉にしてしまわなくてはと思う。
しかしそれでも容赦なく時間は過ぎていく。
田村隆一の詩『Fall』に
「時が過ぎるのではない 人が過ぎるのだ」
とあるように、
ヒトが時間軸を駆け抜けているだけかもしれないけど、
人生という旅の中で、迷子にならないように、
暗がりを導く明かりを照らせる人にならなくては。
……今月は私が評議員で運営委員を務めさせていただいている
現代水墨画協会の総会が控えています。
56年という長い歴史のあるこの団体を
次の世代に確実にバトンを繋げていけるように
確実に技と、人と、時間と、心とを紡いでいかなくては。
『第56回現水展』
会期:平成29年10月7日(土)~10月14日(土)
会場:東京都美術館
主催:現代水墨画協会
後援:文化庁・東京都・上野の森美術館
秋の『現水展』は全国一般公募となります。
締切は7/1~7/15。
独創的で現代感覚に富んだ意欲的な水墨画をお待ちしています。
応募要項は現代水墨画協会まで、お問い合わせください。
※画像は現代水墨画協会理事長である根岸嘉一朗先生の作品です