追悼シンポジウム『岩崎力の仕事』、東京外語大へ。

岩崎力氏は、フランス文学者で厖大な翻訳の仕事を残されているうえに
語学の本なども多く執筆されていたそうです。
岩崎力先生はストイックに仕事に打ち込みつねに穏やかな人格者であったそうです。
たぶん心の奥底に滾るものを持ち続けていたからこそ、
高いこころざしと使命感を持っていたからこその生きざまだったのだろうと思いました。

岩崎先生に大学で学んだという人や、フランス文学を研究している人、教授や翻訳家、出版関係の方など
専門的な知識人が全国から集まっておられました。
みな、言葉の力を信じている人たちです。
道楽者の絵描きはこそこそと会場の奥に座り、
貴重なおはなしの数々を、メモに残しながら拝聴してまいりました。
登壇者ひとりずつに、積み重ねてきた時間があり豊かな知識があり、
それぞれにもっている言葉の音色があり、肌触りがあり
その蓄積されてきたものを同じ空間で共有できるという至福の時間を過ごすことができました。

堀江先生が在仏中、折にふれては現地の方に「岩崎力を知っているか」と訊かれたと、
その度に扉をひらくように物語が展開していくというエピソードを楽しく聞かせてくれましたが、
私も呪文を唱えつづければ、いつか扉はひらくでしょうか。
ながいながいこの地べたに這い蹲る日々からぬけだせる日が
くるといいな。