寒い冬のあいだ、春を待ちかねるように
ピンクの春ニットを買った。
ピンク色なんて学生の頃以来だなぁと思いつつ、
あんがい自分の肌色になじむし、
淡いそれは上品な雰囲気をかもし出すことに気づいた。
学生のころはシアンよりの薄ピンク×ブラックで
キッチュでガーリーな雰囲気を楽しんでいたが、
ベージュよりのペールピンクは白や紺に合わせることで
穏やかで優しい感じに仕上がる。
おとなピンクといった風情だ。
先だって世田谷のお屋敷街を歩いていると
庭先のいたるところで可憐な花々がほころんでいた。
花の名はさほどくわしくないが
若い頃より季節による自然の色の変化に感慨を覚えるようになった。
しろ、きいろ、むらさき、おれんじ…
花の色はさまざまあるけれど、
なんといっても可愛らしいピンク色に目が止まる。
淡いピンクの花弁は、
この季節の明るい緑と澄んだそら色によく似合う。
ピンク色を身にまとった人もよく見かけるようになり、
自然も街も人も華やぐ佳い季節になった。