深夜に『なぞの転校生』がドラマ化されて放送されている。

それがなかなかの出来だと何かの雑誌で読んだのはいつだったか…

テレビ欄にはっと思い出し、見始めた時はすでに最終話2つ前。

ともかく鑑賞してみた。

出来がいいのは確かだが、

やはり少年少女向けの物語には違いない。

私がこの原作を読んだのもたしか中学生の頃だった。

時代のせいもあるのだろうか、SF小説の虜だった私は

図書館の児童向SFや推理小説を端から端まで読み尽くした。

なにがそこまで惹き付けたのか、

当時の私にインタビューはできないので、確たることは言えないが

読後の爽快感を何よりも愛していたように思う。



少年少女向けのSFや推理小説の主人公は

ごく普通の野球少年だったり、

クラスで目立たない女の子だったりする。

そんなどこにでもいそうな子どもたちが

異質なもの、自分とは全く価値観の違うものと出会い、

好奇心から心の扉を少し開いてみたとたんに

世界がひっくり返るような冒険に巻き込まれ、

何度もきびしい試練を乗り越えて

最後には心をぐんと大きく成長させる。

…という展開が多い。



冒険が終わると、おだやかなエンディングが待っている。

私がもっとも愛したのは、この部分だ。

たいていの物語で子どもたちはいつもの生活に戻るのだが、

心の世界を広げた彼らが感じる景色は、

それまでのものとはまるで違うのだ。



物語が伝えたい思いはたぶん…

いま自分がある、自分が認める世界も大切だが

人が大切にしている未知の世界を受け止めることも大切、

ということだろうか。

主張する。受け入れる。

という相互作用をくり返すことによって、

子どもたちの世界はぐんぐん広がっていくのだろう。



…そんなことを考えていると

無償に児童向けSF小説をふたたび読んでみたくなった。

さっそく入手したので、

貪るように読んでいた当時の感覚を少し思い出してみようと思う。