正直、よくは知らない。
釣りが好きで、酒が好きで、戦争の話も書いていたが
なにより優れたコピーライターであったこと。
サントリーウィスキーのブランドイメージを作った人という印象くらいだ。
飲み明かせるほど、その仕事も知らないし、深く知ろうともしたこともない。
小説も、随筆も。特にこれが好きだのというほど読んでもいない。
釣りにも興味がないので、じゃあなんで開高健なんだと聞かれればつまり…
ちょこっとかじった軽度、舌先に触れた程度なのに、
開高健が紡ぎだす言葉の質感が、どれもしっくり肌に馴染んでしまうのだ。
本のタイトルもしかり。
そこに漂う空気が伝わってくるようで、どれもいい。
コピーライターであっただけあってaphorismの名手とも言えるのかもしれない。
それらはまるで、きりりと喉をシビレさせるソーダ水のようなのだ。
何度も何度も、その味を確かめたくなる。
…いまどうにも気に入って仕方ない開高健の造語があるので、
今度の絵のタイトルに、そのエッセンスをくわえてみた。
絵と言葉の相乗効果で、イメージがさらに広がればいいなと思ってね。