夕方のニュースを見ていたら、

カリスマ書店員とも呼ばれる

ブックコンシェルジュの間室さんが紹介されていた。

本に添える書店員発POPの第一人者として知られているらしい。

彼女の手がけるPOPはかならず手書き。

広告屋が印刷工程を経て納品した

顔のないPOPとは比べようのないほど

そこに書かれた言葉は、生きている。



心がけていることは「手をかけること」という。

現代人はムダを省くことと、手をかけなくなることがごっちゃになっている。

とも、おっしゃった。

…これはイタイ。

デザイン会社での小さな日常のやりとりを思い出した。



20代で独立したデザイナーが見た目ばかりそれ相応に飾って

打ち合わせにやってきた。

営業が説明をしはじめて数分経過し…

「つまり、なに?
 時間がモッタイナイからカンタンにマトメてくれるかな」

企画書にもろくに目を通さず、鼻の穴を広げてこう言った。

で、1週間後には使い物にならない販促ツールを納めにきた。

…まだ馴れ合いが社会で通用した少し前の時代、

そんな輩も決して稀でなくいた。



モノが溢れて、モノに価値を見いだせない今の時代、

とことん手をかける、手を加える、手仕事にこだわる…

という手段は何にも勝る

時間ばかり追いかけるこの時代を生き残る手だてではないかと思った。