昨年の暮れに丸の内に出向いた。

東京駅のプロジェクションマッピングは

見物客が殺到したため、幾日か中止されたようだが

そんな賑わいの一角でひっそり行われた

ある除幕式を見つめていた。

首長も出席し、記者たちが取り囲んでのイベントだったので

ひっそりというワケでもないか。



丸の内が今の姿に生まれ変わる以前、

丸ビルのとあるレストランに誘われたことがあった。

そのころ青山界隈を根城にしていた私には

丸の内は古ぼけたひと昔前の街並みに映った。

エレベーターホールに足を踏み入れた途端、

まるで山崎豊子の小説の世界。

内装も年代を感じるものだった。

建物の造りは立派だったのかもしれないが

煤けた印象しか残らなかった。

東京と名のつくの中心の街なのに

ビジネスや交通の要路としてしか機能してなく

高度成長期の面影を置き去りしたままの街。

丸の内は、そんな印象だった。



しかし、今

地下鉄から地上に出てくる瞬間に見上げる街並みは

東京の中心にふさわしい未来都市そのものだ。

今の子どもたち、これから生まれてくる世代が大人になった時、

果たしてこの町並みは、その瞳にどう映るのだろうか。