ここ数日のこと

ある人から手紙が届くようになった。



…先日の受賞式の後に懇親会があった。

偶然となりあった先生とあれこれとお話をした。

90過ぎのおじいちゃまだけど、

しっかりしていて、全く衰えた感がなく、

お住まいの地域では、

水墨画協会の理事などもされている方だ。



テーブルにはご馳走が並んでいたけど、

「こんなに食えねえよ。

 昼間に買ったものも残ってるしさ。

 今日はもう充分だ」

とおっしゃるので、

ビールを酌み交わしながら

わずかな肴で、いろんな話をした。



そのなかで戦時中のいろんな苦労を聞いた。

「おれは大人しいからなぁ。言えねえんだよ。

 辛かったけどなぁ。我慢するしかなかったんだ」

…不思議なほど、

遠く過ぎてしまった時を語る口調は穏やかだった。




先生にいただく手紙はほんの数行だが、

先日は立派な篆刻が添えてあった。

さすがに「その内にお返事すればいいか…」

といういつもの緩さではまずいと判断し、電話した。

「ああ。この前の時のね。うんうん。

 あのとき篆刻の話もしただろう…。

 いやぁ、次の展覧会の作品を仕上げたら、ひまでさ」

だって(笑



いつか感謝の印にあちらの県展にでも伺わなくてはいけないな。