真直ぐ空に伸びる木々がそこにあり、

濃い緑色の葉がそこに茂り、

生命力に満ちた美しい光景がそこにあり、

だけど

風が凪いでいると

景色が止まって見える。

まるで呼吸をしていないようで

なんだか落ちつかない気分になる。

風を受けてざわざわと葉が会話するのが好きだ。

ざーっと音を立てて、葉が風に煽られるくらいが好きだ。



…そう。たとえば

制作にひとりで幾日も没頭するのもいい。

でも同じ夢が集う場所で対話することも大切だ。

話している内に、

ひとりでは見つけ出せなかった閃きに出会う。

風をはらんで空気が満ちるように、

ざわざわ落ちつかない気持ちになって

今すぐにでも白い紙に向かいたくなる。

答に迷ったら、風の中に身をおいて対話してみよう。

この世界は、大きく羽を広げて風を待つ夢で溢れているから。





…というわけで、ただいま

『第51回 現水展』(会期:10.21(火)~)と

『第40回記念 全日本水墨画秀作展』(会期:11.8(木)~)の

制作にかかっています。