小さなグループ展も終わりに近づいた日。

いつもご贔屓にしてくださる方をお見送りして

さて、ひと息。

自分の部屋にいるような心地で

椅子に座ってのんびり作品を眺めていたら

ひょいと顔を覗き込まれた。

「だれ?」

と思ったら、記憶に深く刻み込まれた顔。

旧友だった。

会うのは5.6年ぶりか。

印象は変わらずだけど、

外見は記憶の中のイメージから何年も未来にスリップしていた。

学生の頃、考えていた大人ってこんなだったよね。

という貫禄ぶり。

ま、互いに鏡を見るような感覚だろうけど(笑

「前に会ったの、いつだっけ」

「さあ、5年程度じゃないの?」

「○○ちゃんの結婚式以来?」

「それって、いつだっけ?」

「さあ…」

日々いそがしくこなしていると、時間の感覚もこの程度だ。

「結婚した?」

「まあ、そのうちちゃんと言います」

「私に申し込むってこと?」

「また…なに言ってんの…」

どんな軽口叩いても、うまい具合に合いの手が戻ってくる。

心地よい会話。

ほんの10分程度だったけど、

会わなかった数年間をあっという間に埋めてしまうから不思議だ。

「じゃあ、またね」

笑顔で見送った背中。

次に眺めるのは、何年後かな。

互いにこの忙殺される日々から解放されるいつか、

縁側でお茶でも飲みながらゆっくり語り合おうか。