【わびすけ】 来賓として招かれた卒業式はあいにくの冷たい雨。 桜はまだ固いつぼみのままだけど、 侘助がひときわ鮮やかに雨に濡れていた。 こんなに雨の似合う花もそうないだろう。 人目につかない場所にひっそりと、でも凛と咲く。 「いくら水を飲んでも、どうしようもなく喉が乾いているんだ…」 …そう言っているみたいでしょ。