広告のアイディアを昼も夜もひねり出していた頃。

ひとつの仕事に対して100のアイディアを出すようにしていた。

最初は上司に言われるまま。

しかし年を重ねるごとに、それが自分のスタイルになっていき、

後輩に同じように伝えていくようになった。



最初の2~30は他の仕事でひねり出した案だ。

いわゆる捨て案。

次の2~30は、それらを少しアレンジした案。

自分の引き出しの奥から引っ張り出してきた案。

ラフを描きながら次々と絞り出していく。

そうしている内に、いよいよ煮詰まってくる。

それからが本当の勝負の始まりだ。



自分の中にあるものを出し切ってしまうと

不思議と次が見えてくる。

次に進むべき道に灯りが点る。

これまで引き出しになかった新しい発想が生まれる。

この自分の殻を剥いて素っ裸にして……という作業が

道を切り拓いていく上で大事な行程なのだ。



どんな時も、道が暗いなら明かりを灯せばいい。

灯りの元を探し出せばい。

そして自分の力で突き進めばいい。

これまでもそうしてきたし、

きっとこれからもそうしていくだろう。

どこまで行けるか分からないけど、

自分をさらけ出して、無明の中に灯を見いだせばいい。

と、思っている。