神田駿河台界隈を歩いた。

『お茶の水』という駅名で知られる街だ。

明治大学の裏手にある『とちの木通り』は、

明大通りから、水道橋近くのアテネフランセまでつながる道。

街路樹の美しい閑静な道は、

マロニエ通りとも呼ばれるらしい。

道の途中、急な階段がふたつ現れる。

ひとつは『男坂』。

もうひとつは『女坂』。

どちらも急な階段になっていて、下った先は猿楽町になる。

神田駿河台に位置する明治大学横の坂上に

『山の上ホテル』があるように

そこを頂に、猿楽町方面は谷のように窪んだ地形になっているのだ。




猿楽通りを歩くと、

途中にぽっかりと都心のエアポケットに遭遇する。

小さな池のある公園。

その名を錦華公園という。

背後に近代建築の象徴のように、

地上23階のリバティタワーがそびえ立つ。 

不調和な光景の中で、休日らしく地元の子どもたちが遊んでいた。

どんなに狭くてもへっちゃら、

子どもは遊びの達人だとつくづく感心する。




公園敷地の一部にはお茶の水幼稚園があり、

その隣はお茶の水小学校がある。

お茶の水小学校は、20年ほど前には錦華小学校という名称だった。

1993年4月に、錦華小学校・小川小学校・西神田小学校を併合して、

現在のお茶の水小学校となったらしい。

錦華小学校卒業の著名人といえば、夏目漱石で

『明治11年 夏目漱石 錦華に学ぶ』

という碑がお茶の水小学校の校門の脇にある。




そのまま進んで行くと錦華通りにぶつかり、

明大通りに戻るように道を行くと靖国通りに出る。

そこは書店街、神田神保町だ。

斜め左には三省堂書店。

店頭には源氏物語のポスターが飾ってあった。

一千年を越えて人々を魅了する物語か……。

街は変わり、そこに住む人も変わるというのに

人の心は変わらないということだろうか。

時代は流れても、引き寄せられ心にとめ置いてしまう風景は

今の人も、昔の人も同じなのだろうか。




…ハロー。

君は今日なにに出会い、なにを感じていますか。