【宇宙のゆりかご】 夜空を見上げた。 雲ひとつない空。輝く月がそこにあった。 差し向かい。ごまかしようのない会話。 遮るものがないっていうのは、 すこし照れくさいものかもしれないな。 スーツにネクタイのまま 校庭のど真ん中に仰向けて冬の大三角を示す教授。 プロキオン、シリウス、ペテルギウス。 無心に見つめる。 夜空のきらめきを追う。 星空は大人に魔法をかける。 遠い過去の時間軸に想いを馳せる。 眠れるがごと覚めたるがごと暫しとどまり、 眠れるがごと覚めたるがごと我ら去りゆく。 …なんて大きなゆりかごだろう。