『最後まで孫抱き 岩手』

という見出しに心が鷲掴みにされた。

記事には

「祖母は孫をしっかりと抱きしめたまま亡くなっており、
 
 最後まで孫を守り抜こうとしていた。」(毎日jpより)

とあった。

……身が切られるような想いがした。

かつては、つつましい日々があったはずなのに。



読み進みながら、

この数日間こころの奥深くに閉じ込めてきた不安が

堰を切ったように涙という形でこみ上げてきた。



これまで経験したことのない自然の脅威。

被災地はもちろんだが、

少し離れたこの東京もかつてない大きな揺れに、

大人たちは右往左往した。

余震が頻繁に続く今も

毎日状況の変わる被災地の情報に

終日テレビの前から離れられなくなっている人も多いだろう。



テレビには、

毎日うろたえる大人たちが終日映し出されている。



ばたばたと駆け回りインタビューする記者。

大勢に詰め寄られしどろもどろに回答する担当者。

涙を浮かべ支援を訴える人。

「新たに入手した津波の映像を…」

と言って映し出される津波から逃げる大人たち。

まるで鬼の首を取ったかのように

繰り返されるスクープ映像を説明するキャスター。

そこに映し出されているのは、

役者でも何でもない実際被害に合われた人たちなのに。

テレビのこちら側では感覚の麻痺した大人が、

「あの人は逃げられなかっただろう」など嘯く。



そんな、うろたえる大人たちを目の当たりにして

多くの子どもたちは、

大人以上に不安を抱えているだろうと思う。

こんな時だからこそ本当に必要なのは

ぎゅっと抱きしめて

「大丈夫だよ」と言ってあげることじゃないのかな。

おとなたちは、大切なものをちゃんと自分の胸に掴んでいて欲しい。

そう思うんだ。