水墨画の展覧会。

東京芸術劇場へでかけた。

同じ絵の前で佇むひと。

……知人だった。

絵の前で挨拶程度にお話して、

やっぱりお茶でもしましょうかとなる。

彼女も国立新美術館で開催される展覧会の常連。

創作についてあれこれ話がはずんだ。

昼下がりに仲間と芸術について語り合う

そんな平穏な日々を送れるしあわせを感じる。



帰り道。

街路樹に集うひよどりをみた。

鳴き声がうるさいし、

見た目も灰色でうるわしくないからきらい。

というデザイナー仲間がいたのを思い出す。

遠い日の初夏。

会社のパティオに巣をつくったひよどりの

生まれたばかりのヒナを一緒に見守った。

その時ばかりは、その鳴き声をうるさいとは言わなかった。



今を感じて、めいっぱい生きる。

私たちにはそれしか手だてがない。