3月の国立新美術館で開催される展覧会。

今回は『美術新聞社賞』をいただいた。

これまでの努力が少しずつ実になってきたようで、うれしい。

しかし、、、




絵を描くのは孤独な作業だ。

何かひとつの道を突き進んでいくという事はすべて同じ。

たとえば文章を書くのだってそうだ。

地位ある大学の教授だって。

街角の小さな自動車部品工場の職人だって。

毎日漆を塗ることだけに費やしている職人だって…。




私たちが突き進む先には、

人から与えられるような答えなどない。

答はつねに自分の中にあり、

それを粘り強く、自分に頑に血眼になって探し求めるのだ。

そこに辿り着くための決められた道筋などもない。

何度もいくつも道を拓き、

そこかしこに根をはる雑草や棘でからだ中に切り傷を作りながら

日々孤独を貫いて、ようやく見つけ出すことができるのだ。




そうしているうちに日は熟し、人生も満ちてくるだろう。

いつしか社会的立場という樹が自分の背丈を越えて、

その樹に自分の魂を押しつぶされそうになる時もあるだろう。

それでも歯を食いしばって前に進む。

空を見上げて、これ以上届かない星に向かって手を伸ばして…。

だって、人生は続いているのだから。

この血も骨も、この地球という星の灰になるまで

人生は続いているのだから。




…そして、いつしか日々は先細りゆき、

かけがえのないものになって黄金色に輝くのだろう。




どうぞ、大切な人を人生という束縛の殻に

閉じ込めてしまわないでください。

私も、祈りをこめて空をみあげる。

涙がこれ以上零れてこないように。