『Q10』というドラマをみた。
Q10=キュート。と読むらしい。
主人公は今人気の若手俳優。仮面ライダー出身のイケメンだ。
相手役は小学生からアキバ系まで絶大な人気を誇る今をときめくアイドル。
当初はその配役を聴いただけで、ちゃらいな~、と拒絶反応だった。
しかし偶然見かけたその瞬間、はっとして引き込まれていた。
ゆったりとした主人公の語り口調で進んでいくドラマ。
しかもそのセリフひとつひとつが妙に哲学的だ。
さらに劇中に登場する50,60代の人も懐かしいと思うだろう選曲。
これは、、、なにかの雰囲気に似てる。
もしかして!と調べたらやはりそうだった。
脚本を『野ブタ。をプロデュース』や『すいか』の脚本家の木皿泉が担当していた。
懐かしい風景がはらはら花吹雪になって川をゆっくり流れてくるような、
古いアルバムをめくっているような記憶の引き出しをくすぐる脚本。
この前の話、どういう流れだったのかは知らないが、
最後の10分ほどを偶然見た。
Q10と呼ばれるアンドロイドが、平太という主人公の高校生と河川敷に座って話していた。
Q10は「わたしになにをして欲しいのか」と平太に聞く。
しばらく考えた平太は「泣かないで欲しい」と応える。
Q10はガチャガチャと自分の中にある涙壷を外して平太に渡す。
これでもう一生泣くことはないと。
寿命である250年は泣くことがないと。
手のひらの涙壷を見つめて平太はQ10の中にできてしまった空洞を思い遣る。
これから250年間ずっと埋まることのないすきま。
涙壷のあったすきまを……。
「泣きたくなったら、どうするの」と平太はQ10に聞く。
「その時は平太を思い出して笑う」とQ10は応える。
……そうだ!
泣きたくなったら、大好きな人を思って笑えばいい。
涙壷のなくなった空洞は、笑顔で埋めればいいんだ。
なんだか、ちょっとシアワセな気持ちになれた10分間だった。