子供のころから
僕はロボットになりたい
と思っていた。
空を飛んだり、
弱いものを救ったり、
悪を倒したかったわけではない。
心をコントロールしたかった。
心をロボットにしたかったのだ。
悲しい時に涙を流さずに済むように。
どうしようもなく塞ぎ込んだりしなくて済むように。
人を恨んだりしないで済むように。
たいがいの事は上手くいったのかもしれない。
多くの事に冷静にいられた。
人を恨んだりもしない。
23歳の時離婚した。
原因は奥さんの浮気。
はじめからあなたを愛してなかった
と言われた。全部うそだったと。
悲しかった。
何日も塞ぎ込んで
何日も泣いた。
二人で住んでいた家に居たくなくて
土砂降りの雨の夜に公園で弁当を食べた。
弁当に雨が入っても何も感じなかった。
傘を捨てて、ただひたすら歩いた。
何日もずっと夜空を見てた。
僕に何があろうと
変わって見えたわけではない。
ある日思った。
夜になると星が見える。
でも昼にだって星はある。
自分の心が真っ暗になった時に
感じる事
見える事
はいつもあるんだ。
愛してた。
どんなことをされたからと言って
その愛は覆らない。
彼女を幸せにする。
と僕は誓っていた。
夫婦という形が終わって
もう二度と顔を見ることも
声を聞くこともなくても
彼女が選んだ人と幸せになれるように
と思った。
初めに感じてた愛の形は変わるけど
僕は愛し続けようと思った。
それからしばらくして美穂子と出会った。
彼女を愛した。
自分が自分に戻れたような気がした。
彼女が僕に何をしたか
関係あるだろうか。
本質は僕の心にある
貫くんだ。
でも、悲しい。
二度目だからと言って
うまく対処できない。
どうやって過ごしたらいいかわからない。
寝て起きるたびに
現実である事を受け入れるのに時間がかかる。
楽しかった時間が目の裏にこびりついて離れない。
前日に子供達の顔を見れてよかった。
用意したクリスマスプレゼントが渡せなくて悲しい。
喜ぶ顔を想像して
ニヤニヤしてた。
全部うそだったなんて。
どれか一回の
愛してる
は本当だったと思いたい。
彼女が選んだ人と
幸せに
子供たちも幸せに
暮らせるように。
僕はまた
ロボットのように
悲しみをコントロールできるかな。
僕はまた
心の中だけで
愛を伝えて行くんだね。
もう、僕の声は届かないけど
愛してるよ
まきちゃん。




