以下おさらい。
・オーナー様は遥々自走でいらっしゃった。
・当ワークショップ内でエンジンを掛けていると、閉めっ放しでは死ねるほど有毒ガスを排出していた。床が煤で真っ黒になる。左バンクの黒煙がより酷い様子。
・数年寝ていた車両であり、そう遠くない過去に燃料ポンプ等は交換してタンクも問題ないようだとのこと。動くようになってから五年ほどが経過している。
・バラす前に燃料ライン洗浄さながらDr. Carbonを施工する。左バンクの燃圧が低いことには気付いたが、この時点ではさほど気にせず。
・施工後それなりに改善はあったが、もちろんそれで完治するレベルでは無し。
で、バラシに移行したのであります。
まず、フューエル・ディストリビューターをエアマスに固定する3本のビスの内一本が緩んでいました。
画像では分かりにくいですが、ネジ穴をナメてしまっています。
ここがキッチリ締まっていないとイチイチ燃料の噴射量が変わります。
ここで嫌な予感がします。またどっかの素人(一般的にプロと呼ばれる人)が要らないことをしやがったなと。
そして前回のブログで紹介した黒いシーリングを剥いでみると、これが出現したのです。
なんじゃこれは?もしかしてボタン?リベット?
今まで数百個レベルのありとあらゆるK、KEのユニットを見てきましたが、こんなものはみたことありません。
エアマスのフラップの軸の蓋及び左右の位置決めとなるリテイナーの役割をする重要な部分です。
本来はリテイナープレートとスナップリングで固定される部分。
こんな蓋に液体ガスケットを塗りたくって半固定状態にするものではありません。
こうなった原因は、何らかの理由でエアマスをバラそうとして、スナップリングを外したときにどっかにスッとばして無くしてしまったのでしょう。

左バンクの燃調が良くないのはこれが原因で、後は普通に各ユニットをO/Hして「はい、おしまい」という目論みでありました。
もちろんエアマスのフラップの高さや位置決め1/10mm単位の違いで物凄く調子が悪くなるのもKの特徴です。
そもそもそれらの基準値を把握していないのに触るものではありません。
さらにエアマスを分解していくと、このカウンターウェイト固定用のビスの頭をナメています。
メカが分からない一般の素人の方でも、こういうところを見ればその車がどのように扱われてきたか分かります。
ネジやボルトの頭をナメることはメカニックにとっては「恥」以外の何物でもありません。
「1番」が一番大きなドライバーだと信じていて「0番」の存在を知らないメカニックは少なくありません。
フラップの軸を抜いてみると、無理やり入れようとしたかハンマーでどついて入れようとしたかの痕跡があります。
因みにここにガタが出てしまうとそのユニットは使い物になりません。
結局自分でバラして何とかしようとしたものの、何もできなかったばかりかユニットに損傷を与えただけのことです。
エアマスのフラップとそれが上下するテーパー状のハウジングは、まんま「エア&フューエル・ミクスチャー」のマップそのものです。
よって、フラップの位置と高さが非常に重要です。
この個体はそのいずれもがバラバラで、 前述のボタンのせいで本来動いてはいけない左右にも動いていたため、フラップがテーパーの途中で引っ掛かり、ゼロポジションに戻っていない時があったと予想されます。
BOSCHが何故エアマスやフューエル・ディストリビューター、ウォームアップレギュレーターを非分解と指定したかもうお分かりでしょうか。
こういうことをメンタリティの欠片も無い輩がやらかしてそのユニットをゴミにしてしまうからです。
「mm単位の精密さ」なんて言葉を耳にしますが、これらのこと(自動車整備全般でも)に関しては、
「1mm」なんてのは飛んでもなく大きな数値であり「誤差」ではなく「飛んでもなく大きなガタ」です。
右バンク側はいじられた形跡が無かったため、これらの形跡を残した作業者が左バンクの不調をどうにかしたかったのでしょう。
続く
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