「オリックス2-3楽天」(11日、京セラ)
楽天・星野仙一監督(65)が11日のオリックス戦(京セラ)で監督通算1000勝を達成した。
2004年6月の王貞治(当時ダイエー監督)以来、史上12人目。戦後生まれでは初めて。初勝利は1987年4月12日の巨人戦(後楽園)。
監督通算1000勝を達成した星野監督にコーチ陣やまな弟子たちが駆け寄った。
小山伸から花束、最後を締めた青山からウイニングボールをもらい、ポケットに忍ばせた。
この時ばかりは試合中の厳しい表情は解け、照れたような優しい笑みを浮かべた。
史上12人目。投手一筋の監督では史上初の快挙だ。
「この年まで監督をさせていただけるのは幸せだよね」
65歳となった闘将は、しみじみと振り返った。
目指すのは機動力野球。この日も常に全力プレーの姿勢を前面に押し出してメモリアル勝利を奪った。
1点リードの五回。1死一、二塁から重盗で二、三塁に。スクイズを空振りした阿部は2死三塁からボテボテの一ゴロを全力疾走で内野安打にし、1点を追加した。チームは計4盗塁。
「うちの特徴だから。もっとかき回さないとな。全力疾走?当たり前だよ」と指揮官は言い放つ。
1987年、中日監督1年目は開幕から連敗スタート。
40歳の若き監督は「もうこのまま監督で1勝もできないんじゃないかと思った」と不安にさいなまれたという。
しかし、現役時代と同様に闘志をむき出しにして戦う姿からいつしか「闘将」と呼ばれ、中日を2度、阪神を18年ぶりのリーグ優勝に導いた。
監督としての“帝王学”には、1000勝達成の先輩で、尊敬する川上哲治氏(1066勝)の教えがある。サインを筆で書く習慣は、同氏から「監督になったんだから(自覚を持って)筆にしなさい」と言われて続けているものだ。
今季3度目の3連勝で借金は1。次なる目標を問われ、迷わず「2000勝だ」と宣言した。
「東北の人を喜ばせる」と使命感に燃える闘将にとって、1000勝はまだまだ通過点だ。