東都大学野球リーグ第6週第1日(9日、亜大4-0東洋大、神宮)
亜大・東浜巨(なお)投手(4年)が9日、東洋大1回戦で4-0の3安打完封勝利を演じた。
東浜はこの勝利で、通算30勝、20完封をダブル達成。
30勝はリーグ12人目、20完封は主要大学リーグでの最多記録を更新中。
今秋ドラフトの最大の目玉は、学生野球の歴史に残る大投手になった。
東都のドクターゼロ。いや、日本学生野球史上最高のドクターゼロだ。
東浜が東洋大を3安打シャットアウト。
東都史上12人目のリーグ戦30勝を、通算20度目の完封で飾った。
「七回ぐらいから完封と勝利を意識しました。意識したのは初めて。友達や後輩から(記録への)プレッシャーをかけられていました。記録は野手のおかげ」
前人未到の大記録への期待から、約40人もの報道陣が集まった。
神宮での試合後の取材は、通常はベンチ裏。だがこの日は、ネット裏記者席後方に特別の“会見スペース”が作られた。早大(東京六大学)時代の斎藤佑樹(現日本ハム)のような注目度。その重圧も軽々とはね返した。
息切れ寸前だった。八回二死から2連続四球。九回にも先頭の坂本に中前打。
生田監督は「ベンチ裏で息が上がっていたし、汗のかき方がいつもより激しかった。ずっと頭を冷やしていた」と証言した。それでも走者に三塁さえ踏ませない。
昨秋、右ひじを痛めた。MAX152キロの快速球は影を潜め、「調子が戻らない」と本音を口にする。
今春はセットポジションから制球重視の投球にシフトチェンジ。
「0点に抑えれば負けることはない。一人で投げ抜くことに、人一倍こだわりをもっています」
球威を投球術とスタミナで補い、今季は4勝3完封。理想の先発完投、完封を重ねている。
楽天、西武など神宮に集結した約20人のスカウトに、万全でなくても勝てる精神力と制球力を披露して、大学入学当初の目標だった30勝をクリア。
「徐々によくなっている。今後は数字を設定せず、どんどん勝ち星を増やしていきたい」
東浜はリーグ戦2連覇だけを真っすぐに見つめている。
★試合中に栄養補給
完封勝利を飾った東浜だが、生田監督は「ちょっとへばっていた。試合中に黒糖をなめさせた」と明かした。黒糖には、ミネラルやビタミンが豊富に含まれ疲労回復効果がある。何より東浜の故郷、沖縄の特産品だ。幼少期から慣れ親しんだ“ソウルフード”で試合中に栄養補給、抜群のスタミナ源になっている。