球界の「投高打低」が止まらない。統一球、審判のセ、パ統合の2年目を迎えた今シーズン。
貧打の傾向は両リーグ計80試合のうち、完封25試合という異常な数字に表れている。
6日には広島・前田健太投手(24)がDeNA戦(横浜)でノーヒットノーランを記録。
統一球、そしてストライクゾーンへ投手、野手それぞれの対応は?3・30開幕から2週間余りが過ぎた今、検証してみた。
えーっ、あの打球が入らないの?
えっ、このコースが入ってるの?
今季もそんなシーンが各球場で見られる。ここまで完封試合の数は全体の31%。1日6試合あれば、2試合は完封試合という計算だ。
投高打低2年目を迎えた今、数字と選手の声から浮かび上がってくるのは、対応するために変わってきた野球のスタイルだ。
☆ストライクゾーンの有効利用 セ、パ両リーグの審判員は統合に伴って、昨年から「迷ったら積極的にストライクを取る」という方針を徹底してきた。
ストライクゾーンの大きさは野球規則にある通りだから、広げたわけではない。渡田均審判員は「2年目になって浸透してきている。審判員もセとパが統合し、それぞれが慣れてきたのもある。各球団のバッテリーコーチたちの(ゾーンへの)対策も早かったのでしょう」と話すが、選手間では外に広くなったとする声が多い。
その「広くなった」ストライクゾーンを投手はきっちり突く制球力があれば、より幅広く有効に使える。
それを表すのが、昨年の両リーグ奪三振王で今季リーグトップに立つ2人の見逃し三振の数だ。
昨年比は楽天・田中がほぼ倍の27%、巨人・沢村も6%増の28%。打者が手の出ないコースを突けている証拠だろう。
14日のソフトバンク戦(ヤフードーム)で7回2死まで完全投球を続けたロッテ・唐川は「低めを取ってくれる傾向が増えた気がする。投手は本能的に低めに投げる。投手にとっては有利」という。
制球力のある投手がコースをより幅広く使ってくる。日本ハム・田中打撃コーチは「去年から外に広がって、内はそのまま。あれでは打者は踏み込みにくく、長打や連打が出にくい。2年目になっていいピッチャーはなおさらそこをしっかり突いてくる」と指摘。
完封試合数が急増している理由の一つがそこにある。