桑田氏が、長時間の座学で疲れぎみの102人の背筋を伸ばさせた。
【〔1〕プロ野球選手という職業】
「東大でも、毎年約3000人が合格する。ある意味、君たちは超エリート。でも、超競争社会のスタート地点に立っただけなんですよ」
2009年に早大大学院で研究した内容を、午前3時までかけて資料に作り直したという。小・中学生の「なりたい職業」1位はプロ野球選手。2位のJリーガーと年俸、1億円選手数(野球は80人、Jは4人)、選手寿命-を比較。「野球の方がはるかに恵まれている」と力説した。
【〔2〕技術習得方法と取り組む姿勢】
「自分で勉強してほしい。いい選手も故障したら終わり」
長いシーズンをプレーするための練習方法、オープン戦と公式戦の重圧の違いを説明した。
「やじは汚い。やっちゃいけない卑怯(ひきょう)なこと。相手をやじるなら味方を応援して勝てばいい。死球、併殺打…。野球は“死”“殺”という漢字を使う。だからこそ、スポーツマンシップが大事」
少年野球も指導した桑田氏は独自の解釈で「結果を残すこと、社会人として自立することのふたつが大事」と訴えた。
【〔3〕プロ野球選手の使命と宿命】
「だれでもいつかは引退する。野球には代打、リリーフがあるけど、人生にはない。すべては自分なんです」
約35分間の講義を終えると、大きな拍手。ところが質疑応答で挙手を求めるも、反応なし。
「手を挙げにくいよね。球場で会えると思うので、いつでも話を聞きに来てください。野球界の仲間ですから」
その思いは、後輩たちに確かに伝わった。