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 「ストレスに負けない三つの感覚」
       
松崎一葉(筑波大学大学院医学系・教授)
        
        
     『致知』2009年3月号
    特集「賜生(しせい)」より


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 同じような環境で、同じような仕事内容で働いていても、病気になる人とならない人がいます。それはなぜでしょうか。

うつ病に限らず、すべての疾病は環境要因と個体要因のバランスによります。
 
例えばどんな屈強な男性でも、何日も寝ないで重労働に従事すれば体を壊してもおかしくはありません。
 
それが環境要因です。
 
 
一方で本人の資質に起因する病もあり、特に精神的な病の場合、その人のストレスの感じ方によるところも大きいでしょう。


その昔、医療社会学者のアーロン・アントノフスキーがユダヤの強制収容所から生還した人たちの健康調査を継続的に行ったところ、一部の人たちはとても長生きをしたことが分かりました。
 
そしてその人たちは、共通して次の三つの特性を持っていたと報告しています。



一、有意味感
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 つらいこと、面白みを感じられないことに対しても、意味を見いだせる感覚。
 明日ガス室に送られるかもしれない中でも、自暴自棄にならずに、きょうの労働に精を出せること。

 我々のレベルに置き換えると、望まない部署に配属されても、「将来なんかの役に立つかもしれないし」と思って前向きに取り組めることといえます。



二、全体把握感
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 先を見通す力、とも置き換えられるかもしれません。つらいことに直面すると、人は一生それが続くように感じてしまいますが、「ひとまず夜がくればこの過酷な労働も終わりだ」とか、
「いつかは戦争が終わって解放されることもあるだろう」と思えること。

 仕事に転じれば、例えば今週は忙しくて土日出勤になったとします。
 
 「なんて忙しいんだ」と思うのではなく、「今週は休めなかったけど、 来週のこの辺は少し余裕ができるから、そこで休めるな」 など、先を見て心の段取りが取れること。

 それはそのまま仕事の段取りに通じます。「来週のこの辺で忙しくなりそうなので、他部署からヘルプをお願いできませんか?」と、パニックになる前に助けの要請を出せることで、自分もチームも円滑に仕事が回せるのです。



三、経験的処理可能感
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 つらい強制労働など、最初はこんなことは絶対にできないと思っても、「そういえばあの時もできないと思ったけど、意外とできたよな。今回もできるんじゃないかな」と思えること。

 初めて手がける仕事でも、過去の経験からこの程度まではできるはず、でもその先は未知のゾーンだと冷静に読める。
 
 ただ、その未知のゾーンも、あの時の仕事の経験を応用すればできるかなとか、あの人に手伝ってもらえそうだなと把握できる感覚です。

 また、大きくとらえれば、学生時代に努力して練習したら大会で優勝できたじゃないかとか、先生に無理だと言われたが、頑張って勉強したら志望校に合格できたから今回もできるのではないか、と思えることも、経験的処理可能感といえるでしょう。


 これら三つの感覚はSOC(Sense of Coherence)と呼ばれ、一般的にストレス対処能力を測る物差しとされていますが、

簡単にいってしまえば、
 「きっとうまくいくに違いない」という情緒的余裕と経験に基づく楽観性ではないかと思います。