公明党新体制 生活・平和の原点に戻れ
 公明党は、山口那津男政調会長(参院議員)を代表に、井上義久副代表(衆院議員)を幹事長とする新体制を発足させる。同党は、衆院選で太田昭宏代表ら幹部が落選、小選挙区の議席がゼロとなり、衆院に初進出した1967年以来、最低の21議席にとどまる惨敗に終わった。新体制の最大の課題は、来年夏の参院選に向けた党の立て直しだ。

 最初にとりかかるべき課題は衆院選の敗因分析だが、自民党への逆風のあおりを受けたことは間違いない。今後のスタンスを決めるにあたり「自民党との距離」が大きなテーマにならざるを得ない。また、10月の臨時国会を皮切りに野党としての対応も問われることになる。

 そこで、再出発を期す山口新体制に、二つの注文をしておきたい。

 一つは、自民党との連立10年間のきちんとした総括である。あっせん利得処罰法をリードし、発達障害者支援法の成立などで貢献したのは事実である。外交・安全保障分野では、武器輸出三原則の見直しに反対し、自衛隊の海外派遣を恒久化する法案の議論でも慎重な姿勢を取った。

 しかし、小泉構造改革の下で進んだ格差社会やイラク戦争への対応などで、「生活者の党」「平和の党」として十分な存在感を示したかどうかには疑問もある。いずれも最後は自民党に同調し、同党から「踏まれてもついてゆきます下駄(げた)の雪」と揶揄(やゆ)する声が聞かれた時期もあった。

 連立を組んでから4回の衆院選では、多くの小選挙区で自民党候補を応援し、同党の集票構造に深く組み込まれたことによる弊害も小さくない。選挙協力を通じて発言力を増した公明党が、政策の一致点が多い福田康夫首相の政権末期に「福田降ろし」を主導しようとしたのは、政策より選挙を優先させた結果だった。

 10年間の総括は、今後の公明党の行方を占う試金石となる。

 もう一つの注文は、民主党中心の鳩山政権への対応である。強力な支持母体・創価学会との関係は、同党の強みであると同時に、過去、他党からの批判にさらされる場面もあった。このことが公明党の「与党志向」を強めたとの指摘さえある。しかし、新政権に対しては、政局対応を排し、あくまで政策本位で対処すべきである。

 マニフェストを見る限り、公明党の政策は、国内課題についても、外交テーマにおいても、民主党の政策と近似性が高い。新政権の方針に対しては、是は是、非は非と明確にして臨んでもらいたい。

 公明党は、依然として衆参両院で第3党の勢力を持つ。主張する政策の優先順位をつけ、国民に明確なメッセージを発信することで、存在感を発揮できるに違いない。