肩を痛めて、バイオリニストになる道を断念した、苦い思い出があります。

 

 その後は、語学を勉強して、何とか今まで生きてきましたが、どうしても音楽が止められず、肩をどうかしたいと思い続けていました。そこで得たヒントが、あの昭和最後の大横綱・千代の富士です。肩の脱臼グセを克服するため、肩に筋肉の鎧をまとうという訓練をして、綱を締め、10年近くも角界の頂点に立ち続けた大横綱。ぼくも、それにならって、肩を鍛えて、何とかバイオリン続けることができています。

 

 

 音大の短大まで卒業して、何とかここまできました。

 

 千代の富士さんがガンで亡くなったとき、どうしてこんなにいい人がこうなるんだろう思うと、本当に悔やまれてなりませんでした。今回、墓所があるところを突き止め、感謝の意味を込めて、墓前にお参りしました。墓地の入り口に、綱を締めた横綱の像がありました。富士山の方を見て建っているのですが、先立った愛娘のお墓の方角も向いているそうです。そして、そのお墓に、横綱も眠っています。

 

 

 

 ぼくのバイオリン・ケースには、千代の富士のポスターがいつも入っています。横綱への感謝の念を込めて。